モルコでのシュウトとの勝負を終えると、もう一人の人物が。
それをみてヨシュアは言った。「こんなところにいたんですか・・・」
「待っていたよ」とその男も返した。・・・誰だ?
ある時はマブスラのチュートリアル役、またある時はブラックスカル団謎の先鋒・・・。
その実態は、マブスラ誕生の立役者、プロデューサーの十王 新太(ジュウオウ アラタ)。
※この物語はフィクションです。 実在の人物、団体名とは関係ありません。
気付いていたヨシュアに驚く新太と、別の意味で驚くネク。
なぜ反乱を黙認していたのか・・・それは、賭けてみた、彼らの新マーブルギアの開発に。
全てはプロデューサーの手のひらの上だったということか?
新太は言った。この世に偶然はない。あるのは必然だけだ。ここに、ネク達が来たことも。
新たはマブスラの勝負を申し出てくる。その相手は・・・彼が指名した。マーブルブルー、ネクだ。
なぜか赤いメガネをかけた新太と対決!
ネクが勝った!
君達がいれば渋谷はもう大丈夫、私は次の街へ行く、新太はそう言った。
名残惜しそうなシュウトに彼は、マブスラをたくさんの人に知らせるためだ、と言った。
人は皆、時間をただよう旅人なんだ。そう言い残して、彼は立ち去った。
行っちゃった・・・。でも、きっとまた会えるよね。
マーブルスラッシュ、それはまるでこの世の縮図。
マーブルスラッシュ、それはまるで運命のいたずら。
マーブルスラッシュ、それはまるで人生そのもの。
多分・・・
神様!ありがとう。
今日はすばらしい1日でした!
そして明日もまた、今日よりいい日でありますように・・・
アナザーデイ ―すばらしきこの一日。― 完
『アナザーデイ』は終了です。
次は、シークレットレポートか・・・
まとめるのに何日かかるかな・・・
すばせか乙です!
フリーダム過ぎるだろこれwww
忘れてた。アナザーデイの補足を。
とは言っても、個人的なツッコミですが(笑)
八代のセリフ「アンポンタン!」
八代、狩谷、東沢が逃げる時のセリフ「スタコラサッサ、ホイサッサ」
明らかに、現在リメイク版が絶賛放送中のなつかしアニメの悪役三人組のパロディですね。
そしてビイトのセリフ「秘密基地っていえばカレー屋」
これも調べてみたら、「ゴレンジャー」の秘密基地はなんとカレー屋の地下でした。
ネクのセリフ「見えない棒のようなもので動かされてる」
これは、明らかにタッチペンでプレイヤーが操作していることを指していますねw
フィールドと、戦闘画面の下画面のネクの操作はタッチペンで行います。
上画面のパートナーは、十字キーの入力で攻撃や防御を行います。
ちなみに、本編世界ではマーブルスラッシュをモチーフにした戦隊もののアニメが流行っている様子。
ヨシュアが妙に詳しかったりします(笑)
未解決一覧のMSXのところにある「白と黒の伝説・百鬼編」のリクエストした者ですが
リクエストを取り消します。すいません。
>>353までをwikiに収録しました。
読んでいてたのしいので、このままぜひ。
プレイステーションの「LULU」お願いします。
PS2、帰らずの館いきます。
登場人物
芹沢ユキ…中一。優等生だが、実はオカルト好き。
篠崎タツヤ…中一。幼馴染。スポーツマン。怖いもの苦手。
山瀬ヒトミ…中二。帰国子女。二人の親友。ハーフ?で日本人離れした容姿。霊感強い。
1、
東北の守森町(かみもりちょう)。人が滅多に立ち入らない森があり、「もりがみさま」
という神様がいると伝えられているが、今はもう廃れて子どもの遊びの中でしか
登場しなくなっていた。
「もりがみさま」遊びはこっくりさんのようなもので、同級生の園田ユカリが
良く当たると評判。
ある日、ユカリが欠席するが、周囲の女子の様子がおかしい。
詳しく話を聞くと、昨日「もりがみさま」で誰が一番早く死ぬのか占ったらしい。
ユカリが自分を占うと、「あしたしぬ」と勝手に動く十円玉。パニックを起こして
ユカリを置いて皆逃げ帰ったらしい。
他の同級生にユカリの家の前で拾ったという不気味な手紙を渡される。
手紙には「助かりたければ館に来い」とあり、ユカリも不在だったという。
恐らくその館に行ったのだろう。
ユキはタツヤとヒトミに手紙を見せる。
ヒトミがその手紙の気配をよむと、森の奥に館があり、そこから気配がするという。
ユキは興味を持ち、ユカリを救出に行くことにする。
2、
夜、三人は校門前に集合し早速森へ入る。
途中、小石を積んだ墓のようなものや、祭囃子の音、歌声がしてくる。
それでも進むと寂れた館が現れる。
ヒトミが気配を探ると、ユカリか解らないが、館の下のほうで女の子の気配を
感じるという。
館は大きな二階建てで、中に入ると、玄関ホールで白骨死体を発見。
外に逃げようとするが、出られない。
死体を調べると、男性の死体で様子から殺されたことがわかる。
更に廊下の奥を調べると、女性の死体も発見。
所持していた手帳を読むと、女性は霊媒師で、男性の死体・桧山ソウイチの依頼で
呪いを解くためこの館に来て殺されたらしい。
館には怨念が眠っていて、入ったものは出られない。怨念がある限り。
また、桧山の呪いも「もりがみさま」関連らしいことが読み取れる。
定められた時間、朝までに館から脱出しないとその身は怨念と化して永遠に館に
閉じ込められる。
館からは出られないし、腹を決め、ユカリを探しながら館を出る方法を探すこと
にする。
3、
一階を探索し、万年筆とウォッカ、ペンチ、水道のバルブ、針金を手に入れる。
柱時計の振子を動かす。
右奥に発電機が置いてあり、ウォッカと針金、ペンチで稼動させ、館に明かり
をつける。
明かりをつけると何者かの足音が近づいてくるので、隠れてやり過ごす。
館には自分達以外の何者かがいることがわかり、注意して進む。
館の主人(ビュスケ)の日記帳によると、1930年代の頃のこと。
娘のロザリーがおかしくなっていく様子が書かれている。
館の使用人は次々死んでいき、妻(ドロテア)も烏に目をつぶされた。
ロザリーは行方不明になり、日記は妻を呼んで終わる。
ユキは日記を読み、怨念はこの地の呪いかもと推理する。
執事(ブランジ)の部屋で、童謡に関する本を発見。
読み進むと、ユキたちの地域の昔の童謡、神社行事が書かれているが、守森町には
神社が一つも無い。
童謡に関しても全く知らない歌だ。
その神社では「森上様」が祀られていたという。
先に動かしていた振子時計が三つ鐘を鳴らしたとき、玄関ホールの人形像が動き、
銀の弾を手に入れる。
4、
階段の踊り場には西洋の鎧がおいてあり、近づくと攻撃してくる。
何とか撃退し、二階に上がる。
図書室で守森町地域の歴史に関すること、神社行事を調べる。
昔、厄鬼山(やくきやま)から鬼が降りて人を襲うことがあり、それを助けてくれる
のが森上様。
森上様を呼ぶ儀式が先の童謡、神社行事で「ねぶさや」だという。
しかし、森上様を祀った神社が火災により消失し、廃れてしまったという。
他の本にはねぶさやは子どもの生贄を決めるという説も載っている。
儀式で生贄の子どもを決め、頭を落として捧げる。
遺された家族が生贄になった子どもを偲んで布人形を捧げる「だなかし」というのも
あったらしい。
厄鬼山と同じ読み方で、今、自分達がいる館が屋木山だ。
何か関連があるのか?
客室で、ロザリーの友達の松永チトセ一家宛の「礼服でお越し下さい」という
招待状を見つける。
この時つながっていない筈の電話が鳴り出し、電話を取るが誰かはわからない。
またヒトミにも何者かが乗り移り「帰れないわあなた達…」と呟く。
5、
礼服を探しながら二階を探索。何とか着られる女性用ドレス二着発見。
また、チトセの死体を発見し、帽子と鍵を手に入れる。
奥の部屋で子どもの霊が現れる。
遊んで欲しいようだが、話をするとこの子は「ぬぐい」には選ばれたけれど、
「だなかし」はしてもらっていないらしい。
ロザリーの部屋でチトセの帽子を被ってノックをすると、
「チトセちゃん?来てくれたんだね」と少女の声がしてドアが開く。
高価そうな人形達がたくさんあるが、触ると霊象が起こる。
コレクションは触られたくないらしい。
端にひとつだけあるぼろ布の人形は大丈夫そうなので持っていく。
机にはロザリーの日記があり、ここにもおかしくなっていく様子が書かれて
いる。
先ほどの子どもの霊にぼろ布の人形を渡すと、成仏する。
ドロテアの部屋の前に罠があり、床をぶち抜く。
念の為タツヤに下の様子を見に行ってもらうと、発電機のあった部屋で聞いた
足音の主らしきものがいたという。
6、
残るは男性用の礼服。
浴室で発見するが、浴槽にドロドロの化け物がいて手が出せない。
一階に降り、隠し部屋の水道管をバルブを使って開けると、ドロドロの化け物が流れて行き、
男性用の礼服が手に入る。
礼服を着て食堂に入り、食べるふりをしながらメイドの霊たちの噂話を盗み
聞く。
噂話の一つに、メイドとピアニストの恋話があり、ピアノの鍵を開けると
ピアニストの霊が出てきて、ユキたちを恋人のメイドと思い、
「君の言うとおりだった。ロザリーじゃない。執事が危険。逃げろ」と言って消え、
銃が手に入る。
更に探索し、口紅、真珠の首飾り、黒真珠の首飾り、黒酒、ワイン、
四つの宝石を手に入れる。
応接室で隠し金庫を開け、金の手鏡を見つける。
吸精の手鏡と言い、悪魔を吸い取ると言う云われ。
また発見した執事の手帳には、館を建てる前、土地の下見に来たときにおかしな
地下の祠があったが気にしなかった。全ては自分のせいだ。
ロザリーの厄をはらうために使用人を生贄に捧げてきた。自分もいく。と書いて
あった。
他に、「森上様」を呼び出す手順が書いてある。
7、
別の部屋には悪魔祓いの方法が詳しく書いてある本もあり、両方の情報を書き留めて
おく。
四つの宝石で、隠された地下への扉を開き、地下に降りる。
奥まで行くと執事のゾンビが現れるので、銀の弾を込めた銃で撃つか、ワイン樽で
つぶして撃退する。
地下には草原の絵があり、その中に吸い込まれる。
※ちなみに絵の中に入った時に、万年筆か口紅で絵にサインをすると、絵が
自分の物になるらしく、ユカリ矢印と書くとユカリと再会でき館からも何故か出る
ことができます。
しかし、そうすると館の謎は解けないまま強制終了します。
先へどんどん進むと、草原から秋の林道、自分達がいるはずの館、外国風の街、
港まで行きます。
ここでユカリと再会。ユカリは館に来てすぐ、危険だからと女の子にここに
案内されたと話し、手にはフランス人形を持っている。
部屋に入った途端に女の子がこの人形になったらしい。
港まで進み、船で海に出る。船長からロザリーの忘れ物の赤い靴を預かる。
しばらく行くと嵐にあい、海に投げ出されるが、何故か吸い込まれた絵のある
部屋に戻っている。
8、
二階でロザリーの肖像画を見て、ユカリは自分を案内してくれた女の子は
この子と話す。
絵のロザリーに赤い靴を差し出すと、嬉しそうに受け取り、消える。
後には頭蓋骨のレプリカが転がっていて、地下室の奥の壁を壊すと、この頭蓋骨の
レプリカが鍵になった壁が現れる。
奥に進むと、石棺とたくさんの骨、神具が転がっている部屋に出る。
恐らくこの石棺が森上様なのだろう。
ユキは森上様を悪霊と考える。生贄を次々と求めているからだ。
書き留めてあった手順で悪霊祓いを行うと、周囲が激しく揺れ、収まる。
祓い終わったかと思ったが、石棺の蓋が開き中から少女の姿をした老婆のような
化け物が出てくる。
必死で一階まで戻ると、玄関が開いていて外に出られる。
外に出ると激しい嵐で、館を振り返ると今まで中にいたのが嘘のように朽ち果てた
廃屋になっていた。
館の奥からうめき声がし、化け物が追ってくるので四人は振り返らずに森の中を
逃げる。
しかし同じところをぐるぐる回っていることに気がつく。
また、追ってくる化け物はロザリーだとユカリは話す。
ロザリーのゾンビにユカリが持っていたフランス人形を手渡すと、真っ白に輝き
ありがとうと呟きロザリーは成仏、怨念も開放されます。
※また、吸精の手鏡を使ってロザリーのゾンビに取り付いている森上様を吸い取っても
良かったかも?
そのまま気を失い、気がつくと朝の10時過ぎ。
夕べの嵐が嘘のように澄み切った青空でEND。
スタッフロールが流れてENDの文字が出たので、自分ではこれがGOOD END
かと思っています。
帰らずの森乙です。
なんだか、日本の神の祟りだけど舞台は謎の洋館だったり、
現れるのがドロドロの化物かと思えばゾンビだったり霊だったり、
雰囲気が絞れてないゲームだなぁ。
乙カレー。
ジニーはサガフロ2の主人公であり、主要妖精の一人でした(;´Д`)もうダメポ…
土日に入って気合入れて書こうかと思って、仮眠とったら24時間経ってました(;´Д`)もうダメポ…
これを書く上での悩みは9月を書くべきかどうか。
リーヴェルを語る上で、9月ってあんまり必要ない気がするんですよね。
街の住人殆ど関わらないし、尻切れの置いてけぼりだし、ハートウォーミングしないし('A')
8月終えてから考えます。それでは続きの5月を。
●5月
ヘイゼルが街に旅芸人の親子が来た事をマリエルに伝えに来た。2人は街の噴水広場に向かう。
噴水広場には既に街中の人々が集まっていた。芸人の出し物は大盛況のうちに終わった。
途中、出し物に身体を張って参加したマリエルに、旅芸人のニールが礼を言い、
共に芸を行った娘のホリーを紹介した。
ひとしきり自己紹介を終えた後、ニールはホリーのカバンの金具が壊れているのを発見した。
ホリーは壊れた原因に心当たりがなく不思議そうにしていた。
「この街には、腕のいい革細工職人がいましたね。」ニールがマリエルに聞く。「ゲイリーさんのことかな?」
「もうしわけありませんが、ホリーをそこへ連れていってもらえませんか?わたしは片づけがありますので。」
「うん、いいよ。ホリー、いこっ!」「はいです!」
ニールの頼みを聞き入れ、マリエルはゲイリーの家にホリーを連れて行くこととなった。
二人はゲイリーの家に入った。「こんにちはっ!」「マリエルか?…なんの用だ。」
街では偏屈で通っているゲイリーは、とても歓迎しているとは思えない声でマリエルに返事をした。
マリエルは客を連れてきたことを伝えた。
「見かけん子だな。」「ホリーです。はじめましてです。」ホリーは行儀良くお辞儀をした。
「そのカバンか…。」ゲイリーは視線を落としカバンを凝視する。
「母の形見なんです。直して貰えますか?」とホリーはゲイリーにお願いをした。
ゲイリーはカバンを感慨深そうに見つめ、受け取り修理を始めた。
その間二人は、ゲイリーの家の壁にかけられていた虹の絵画を鑑賞する。
「すごくキレイな虹だね。」「こういう虹、見たことあるです。小さなころ、お母さんといっしょに。」
ゲイリーはあっという間にカバンを修理し、ホリーへと返した。お礼をいい、御代を聞くホリー。
しかしゲイリーは二人を追い払うように、さっさと出て行ってくれと言った。
家を追い出された二人。「怒らせちゃったですか?」ホリーが申し訳なさそうに言った。
「わかんないけど、どうしてだろう?いつもはあそこまでヘンクツじゃないのに。」マリエルにも理由が分からなかった。
「でも、怒っているというより…。」「寂しそうだったです…。」
数日後マリエルの住む小屋にホリーが訪ねてきた。
花がたくさん咲いている場所をマリエルに案内して欲しいと言う。
お安い御用と、マリエルとホリーは街にある見晴らしの丘に向かった。
ホリーは花を摘み、編み始める。綺麗な花輪だけど編み方が変わっているねと、マリエルが言うと、
ホリーは母に教わり、母は母の父に教わったと言う。程なくして花輪は出来上がったが、
誰に渡すのだとマリエルが聞くと、ゲイリーにカバンの修理のお礼として渡したいとホリーは言った。
二人はゲイリーの家に向かう事になる。
ゲイリーは礼なんぞいらんと言ったろうがはずだと、受け取りを拒否しようとするが、
ホリーが花束を抱え、「あの…このあいだはありがとうです。」と言うと、ゲイリーの脳裏に過去の記憶が蘇った。
それはゲイリーの娘ティナがゲイリーに花輪の編み方を教わり、そのお礼に花輪をプレゼントした時の記憶だった。
我に返ったゲイリー。「…これを、ワシに?」「はいです。」「…そうか、ありがとよ。」
花輪を渡したホリーが少しゲイリーに近づく。「お仕事するとこ、見ててもいいですか?」ホリーがゲイリーに尋ねた。
「…そうおもしろいもんじゃなかろうに。」「そんなことないです。魔法をみてるみたい。」
「ふん…ヘンなところが似るもんだ。」ゲイリーは少し懐かしそうな顔をした。
マリエルが小屋に帰ると、フィオナがホリーについて変わったところがないか?とマリエルに尋ねた。
「うーんと…言葉が少しヘンかな?」「そういうことじゃなくて。」そういうことじゃないらしい。
フィオナはホリーに妖精の存在を感じると言い、次にあった時注意してみて欲しいとマリエルに伝えた。
ある日、噴水広場でホリーを見かける。マリエルがホリーに挨拶をすると、
ホリーはそろそろ次の街に行くことになりそうだと、マリエルに伝えた。
「さよならを言うのは、また会うためのおまじないなんだってお母さんが言ってたです。」
「そっか、なら、また会えるよね。」「はい。」「お母さんって、ステキな人だったんだね。」
「虹は心の架け橋なんだって、いつも言ってたです。たとえ遠く離れていても、心はつながっているんだって。
だから、お母さんは虹になったです。会いたい、と思えば心に虹がかかる。そらに虹がかかったときは、
お母さんがホリーのことを思ってくれてるです。」
その後ゲイリーの所にお別れの挨拶に行くということなのでマリエルも同行する事となった。
ゲイリーの家に入った二人。「ゲイリーさん?」ホリーがゲイリーを呼んでもゲイリーは二人に背を向けたままだった。
「…ホリーか、なぜ来た?」「ゲイリーさんに、さよならを言おうと思ったです。」
「よけいなことを。…黙って去ってくれた方が、まだなかったことと思えたのに。」ゲイリーの言葉は小声だが力強かった。
「またいつか会うために、さよならを言うんだって、お母さんは言ってだです。だから、さようならです。」
ゲイリーが二人の方を振り向いた。
「虹が出たら、ホリーのことを思い出してください、ホリーもきっと、ゲイリーさんのことを思い出すです。」
その言葉を聴いたゲイリーの脳裏に再び過去の情景が思い浮かぶ。
「虹が出たら、わたしのことを思い出してね。」「待て、待ってくれティナ。」
「…どこに居ても、父さんのことを思っています。」「ティナ!」それは、娘ティナとの最後の会話であった。
気がつくと、ゲイリーはホリーの肩を強く掴んでいた。
「…あの男は、…お前の父はどこに居る?」「お父さんは…宿屋に。」「よし、行こう。」
「…あの、ゲイリーさん?」「ティナ…、二度は行かせんぞ。」
ゲイリーはホリーを連れ立って宿屋へ向かった。
ゲイリーとマリエル、ホリーは宿屋につく。
「久しいな。」ゲイリーはニールに話しかけた。ニールは深々と頭を下げ
「ごぶさたしております。きづいていただけるとおもっていました。」と答えた。
(恐らくニールはホリーのカバンの金具を意図的に壊した)
「わからいでか、あのカバンは、ワシがティナのためにこさえた、唯一無二のものだ。」
「こうでもしなければ、会っていただけないかと思いました。」
「もちろん、覚悟があってのことなんだろうな。」「…そうです。」
「いいだろう。この子はワシが引き取って育てる。異存はないな?」
「はい。ホリーを、よろしくお願いします。」
ホリーは状況が飲み込めていなかった。ニールはホリーが母親の父親、即ち祖父である事を伝える。
そして、ニールはホリーに今後はこの街でお爺さんと一緒に暮らすようにホリーに言った。
一人になる父親を心配するホリー。「そんなのいやっ!あたしもお父さんといっしょに行く!」懇願するホリー。
「いい子だから言うことを聞くんだ。ホリー。」「お父さんは、あたしがいらなくなったの?」
「ちがうんだよホリー。おまえのためを思って…。」「ばかっ!お父さんのばかっ!」
ホリーは宿屋の自室へと駆け込んでいった。
ニールはホリーの説得に暫く時間が欲しいとゲイリーに伝える。
ゲイリーは今もニールを憎んでいるが、ニールがホリーと共にこの街に残るなら拒むものではないと言った。
「いえ、わたしは…。」「そうだな。それができるくらいなら、あのときワシから娘をかっさらって逃げることもなかっただろう。」
ゲイリーは宿屋を後にした。
マリエルはニールが何故ホリーを置いていくのか理解が出来なかった。ホリーは父親といっしょに行きたがっているのにと。
その方がホリーの幸せのためにはいいと、自分と一緒にいたら母親と同じように不幸にさせてしまうと、
ニールは寂しそうに言った。
マリエルは宿屋のホリーの部屋に行く。
ホリーはこのような状況でも涙を流していなかった。泣いたら子供みたい、子供だから置いていかれる。
早く大人になって自分のことを自分で決めれるようになり、お父さんに同行したいと。心から願っていた。
しかし現実の別れが近づいていることはホリーも感じていた。
家に帰ると願いの花がつぼみをつけていた。
つぼみに触るとホリーの想いがマリエルに伝わってきた。
「あたしどうしたのいいの。教えて、お母さん…。お母さん…。虹が見えないよ…。」
ホリーは泣いていた。「…ホリー、人前では泣いたことないのに。やっぱり、つらいんだね。」
その頃から街に降り止まない雨が続いた。
フィオナはその雨を妖精の仕業に決まっていると断言した。
「きっと、お天気妖精のだれかがヘソを曲げて雨を降らせているのに違いないわ。
しかも、このわたしがお洗濯する日によ!きっとよそ者か、そうでなきゃもぐりの妖精だわ。」
雨を降らせている妖精に思い当たる節があるのか、マリエルが小屋を飛び出した。
洗濯が出来ないから服を汚さないでというフィオナの願いも振り切って。
宿屋についたマリエルはロビーにいたニールに話しかける。
ホリーやホリーの母親ティナと旅をしていた時は、雨に祟られる事は殆どなかったと言う。
もしかしてら自分は幸運の女神と旅をしていたのかも知れないと、
だとしたら、これからの旅は苦労するものになるかもしれないと悲壮感を漂わせていた。
ホリーを連れて行ってあげればいいのにというマリエルに、
自分がホリーの母親を苦労させてきたことを悔い、これ以上自分の我がままでホリーを苦しめたくないと言う。
そして2,3日中に雨が上がることが無ければこのまま街を後にすると話した。
宿屋のホリーの部屋に入るマリエル。無き疲れているのか、ホリーはベッドに横になったままマリエルには気がつかない。
マリエルはホリーのバッグに住まう妖精を探し当てた。
カバンの妖精?と聞くマリエルに「ちがうわよっ!あたしはジニー、お天気妖精よ。」と答えた。
妖精の名はジニー。ジニーはホリーのために今雨を降らせているのだと言う。
お天気妖精なら虹を掛けることができるかと聞くと、あんな何にも知らないのねとばかりに、
タイミングよく虹を掛けるには虹の妖精が必要だとジニーはマリエルに教えた。
「虹の妖精、いる?」マリエルは首を横に振った。「そう…じゃ、しかたないわねー。」「そ、そんなぁ…。」
マリエルのがっかりした反応を見た後、ジニーは得意げな顔をする。
「あんた運がいいわ。なーんと、いまアタシが持っているコレ!じゃーん!」ジニーがくるりと二回転すると、
その手には虹色の卵が握られていた。「…虹色の卵だね。」マリエルが率直な感想を述べると、
ジニーが振りかぶってぽかりとマリエルの頭を叩く。
「いったーい。なにするのっ。」「アタシのセリフ先取りするんじゃないわよ。コレ、この虹の卵。」
「…そのまんまじゃん。」「うるさいわねっ。」
ジニーは虹の卵を聖なる泉に沈め、希望の光を当てると虹の妖精が孵化するという。
「ほ、ほんと?」「ジニー、ウソつかない。さ、今なら先着1名様プレゼントよ!」
「わーい、やったー!」「じゃ、がんばって、りっぱな虹の妖精を連れてきてねっ。」
「うん、ありがとう!」「いいっていいって、じゃあねー!」ジニーがバッグの中に吸い込まれるように隠れた。
あれ?っとマリエルは少し頭をひねる。「…ねえ、聖なる泉ってどこにあるの?」ジニーの返事はなかった。
「…もしかして知らないの?」ジニーの返事はなかった。
「あーっ!自分が知らないから、あたしに押し付けたんだっ。ずるーい!」素っ頓狂な声で抗議をする。
が、その大きな声で寝ていたホリーが目を覚ましそうになってしまう。マリエルは手で口をふさいだ。
「うーん…。お母さん…。」泣きつかれたのだろうか、ホリーが目を覚ますことはなかった。
「しかたがないか…ホリー、待っててね。」マリエルは部屋を後にした。
小屋に戻るマリエル。フィオナは、聖なる泉は四大の迷宮(地・水・火・風)のどこかにあると言った。
その情報を元にマリエルは四大の迷宮を巡る。
地の迷宮で聖なる泉を発見したマリエル。産み出した妖精達の力を借り、虹の卵を聖なる泉に沈め、
希望の光を当てることに成功。無事に虹の妖精ユルングルとリンクをした。
雨は一向に降り止まなかった。虹の妖精を得て宿屋に急ぐマリエル。しかし、ニールは既に宿を出て、
ホリーを預けにゲイリーの家に行ったと言う。マリエルはその足でゲイリーの家に急いだ。
ゲイリーの家の前。
ニールはゲイリーにホリーを託し、旅にでるところだった。
「…お母さん…お父さんが行っちゃうよ。」泣きそうな声のホリー。
その時、ホリーのカバンからジニーが飛び出し空に立ち込めていた雲を払った。マリエルも虹の妖精を放す。
2人の妖精の働きにより、空に見事な虹が掛かる。
その時、願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【希望】の妖精の誕生。
虹をバックにゲイリーの娘ティナが降りてくる。
「あなた…お父さん…あたし、不幸なんかじゃなかったわ。それだけを伝えたかったの。心がつながって、よかったわ。」
「ティナ…。」「ティナ!」ゲイリーとニールがティナの名を呼ぶ。
「しあわせだったの…ありがとう…。」空を見上げるニール。ティナは虹の中に消えていった。
後ろから元気な声でホリーがニールを呼ぶ。「お父さんっ!お母さん、お母さんが見せてくれたのね!」「…ああ。」
「あたし、お父さんといっしょに行くよ!イヤだって言ってもついていく。」ホリーにはもう迷いがなくなっていた。
「…その子のしあわせがすべてだ。そうじゃないのか?」ゲイリーの言葉にはもうトゲはなく、声はとても優しい。
ニールはゲイリーに深々と頭を下げた。
「あたし、おじいさん大スキ!きっと、また会いにくるからね!」ホリー屈託のない笑顔で元気に言った。
「おうよ。楽しみにしておるわい。」ゲイリーは旅立つ二人を暫く見送っていた。
二人が去った後。さみしい?とゲイリーに聴くマリエル。ふん、別に今までと何にも変わらないと強がるゲイリー。
「…ホントに意地っ張りなんだから。」「ほっとかんか。」
「ホリーの代わりに、あたしが遊びに来てあげるね。」「来んでいい。仕事の邪魔だ。」
「えー、そんなのひどーい!」ゲイリーの手を引っ張るマリエル。「わかったわかった。だからやめんか。」とゲイリーが笑う。
そこにはもう偏屈と言われ続けた年寄りの面影はなくなっていた。
借金ノルマを返済し5月を終える。
続く
乙ですー。
リーヴェルファンタジア乙です。
話が暖かくて和む。
調子に乗ってべたべたと450kb超えちゃいました。失礼。
次スレが出来るの待ちます。
次スレ立ててみます
駄目でした
前スレの561、このスレの
>>375までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。
3ヶ月以上過ぎたので
●執筆予告がある物 から
・シャドウゲイト64
を消しました。
次スレないようなので、立ててみます
●7月
月初め、いつものように借金取りのアルフレッドがマリエルの元にやってきた。
先月のノルマを達成したマリエルに妖精のレシピを幾つか渡すアルフレッド。
普段はそこでフィオナとの憎まれ口の叩き合いをして戻っていくアルフレッドだったが、今回は違った。
帰り際にアルフレッドは、女の子って何をプレゼントされたら喜ぶものかとマリエルに相談する。
うーん、と首をかしげ考えるマリエル。「レア・マテリアル!」
「もうすこし、女のコらしく夢のあること言えないの?」お世話係のフィオナがちょっとがっかり顔をした。
「もらってうれしいものは、やっぱりお花だと思うの。」「そうか、花か…。」
そこからフィオナは花について鉢植えの方がいいとか、花の種類によっては1年中楽しめるものもあるとか
力説するが、アルフレッドはもうその場にはいなくなっていた。
アルフレッドは誰に花を渡すのか二人は思いを巡らすが答えがでない。
「…ヒミツのにおいがするわね。マリエル、あとをつけなさい。」「えー?」
「あのアルフレッドが女のコにプレゼント…。おもしろいじゃない。」「フィオナ、目がコワイ。」
「つべこべ言わずに、行ってらっしゃい。」「そんなー。」
二人がそんな会話をしていると、錬金術師エリックがマリエルの小屋を訪れてきた。
(エリックは2つのマテリアルを合成し、新しいマテリアルを産み出す錬金術師で、
合成はただでして貰えるが、錬金術に関する書籍を手に入れた場合はエリックに提供するというギブアンドテイクな関係)
エリックは実験に必要なマテリアルの収集をマリエルに頼んだ。
そして帰りしなに、音楽学校に通っている妹のアイリーンが夏休みに入ったため
帰郷していてマリエルにも是非会いにきて欲しいと伝えた。
頼まれてなくても行くよ、とマリエルもアイリーンとの再会を楽しみにしていた。
マリエルはアルフレッドの身辺調査とマテリアルの収集をする事になった。
マリエルが追い出された母屋。アルフレッドは母屋にいたが、話しかけるとソロソロ出かける時間だという。
マテリアルの収集をする為に、迷いの森へ向かうマリエル。森に差し掛かろうとした時、バイオリンの演奏が聞こえたきた。
音がする方へと歩くマリエル。そこで見かけたのはバイオリンを奏でるアイリーンと、それを聞いているアルフレッドの姿だった。
「すごい、すごい、ステキ!」マリエルはパチパチを拍手をすると、アルフレッドがマリエルの方へ振り返る。
「…どうしてここに?」少し驚いているようだった。「あら、その声…マリエル?」
アイリーンは目を瞑ったままマリエルの方を向く。「覚えててくれたの?」
「ええ。目が見えないぶん、耳で聞いたことは忘れないわ。…アルって、マリエルのお友達だったのね?」
アイリーンはアルフレッドの方を向いた。アルというのが誰のことだかわからないマリエル。
アルフレッドの方を見ると何か一生懸命ジェスチャーをしている。マリエルは良くわからず「う、うん。そう。」と答えた。
「なんだ。そうだったの。」アルフレッドはマリエルが来て都合が悪くなったのか、
届け物の途中だったんだろ?手伝ってやると言い、二人でその場を離れる事になった。
「じゃあ、また来るよ。アイリーン。」「ええ、また明日ね。」別れ際に約束を交わした。
迷いの森から離れた二人。一体どういう事情なのかとマリエルがアルフレッドに聞いた。
「…マリエル、頼みがあるんだ。」「な、なに?」「オイラが猫だってこと、アイリーンには黙っててくれないか?」
「あれ、あんた猫モドキじゃなくてホントの猫だったの?」「そうじゃなくて…、なんだよ猫モドキってのはっ。」
「えっ、違うの?どういうこと?」「だからー…彼女はオイラのこと人間だと思ってるんだよ。」
アイリーンは幼い頃視力を失っていた為、アルフレッドの姿を見る事は出来ていない。
「ヒドイよそんなの。アイリーンをだましてるなんてっ!」「人聞きの悪い事言うなよ、彼女が勝手にカンチガイしたんだ。」
「黙ってればおなじだよっ。」「頼むよ、マリエル。」いつもは借金取りという肩書きがある為か、
多少高圧的に接するアルフレッドだか、この時ばかりは神妙な面持ちでマリエルにお願いする。
「…ホントのこと話したほうがいいと思うよ。」「言うときは自分で言うさ。だから…。」
いつまでもこのままでは居られないというのはアルフレッドが一番分かっていた。
マリエルはその気持ちを察する。「わかった。約束するよ。」「ありがとう、恩に着る。」「アイリーンを悲しませないでね。」
家に戻り、フィオナにアルフレッドの相手を報告する。
「これがおとぎ話だったら、アルフレッドはじつは呪いで猫に変えられた人間の王子さまで…。」
「なんだか、それ、もしかしたら…。」「まさか…。」冗談で言ったつもりのフィオナも少し考え込んでしまう。
(ここまでの物語の端々でアルフレッドは自分が元人間だとアピールするが、二人は全然信じていない。)
マテリアルの収集を終え、エリックの家を訪ねるマリエル。
エリックの家の煙突からはただならぬ黄色い煙が吹きだしていた。扉を開けると、ひどく煙い。
エリックが家の奥から姿を現し、実験の失敗を伝える。家の外に避難した二人はゴホゴホと咳き込んだ。
一体何を作ったの?とマリエルが聞くと、アイリーンの目を治すための薬を作ろうと思ったが、
材料が足りなく、代用品を使ったらこのような事態になったらしい。
「えっ…アイリーンの目って治るんだ?」「うん、実は薬の作り方はわかってるんだよ。」
しかし月のしずくという材料が足りないのだとエリックは言う。
月のしずくについて書かれていた古文書には「天にあり夜移ろうもの、形なき鏡にて捉える」としか書かれてないらしい。
「なんだか、ナゾナゾみたいね。」だが、アイリーンの為と、マリエルは前向きに探す事をエリックに約束する。
礼を言うエリック。それとアイリーンへの言付けをマリエルに頼む。
家の中の煙さが取れるまで暫く時間を潰して欲しいと。
アイリーンはいつも通り迷いの森でバイオリンの練習をしているらしい。
マリエルは収集したマテリアルをエリックに渡し、迷いの森に向かった。
迷いの森の入り口にはアイリーンだけではなく、またアルフレッドも居た。
マリエルはエリックの時間を潰して欲しいという伝言をアイリーンに伝えた。
また、今アイリーンの目を治す薬を作っていて、月のしずくという材料が足りない事も話した。
「月のしずく…。」それを聞いていたアルフレッドは腕組みをし、何かを考えているようだった。
簡単に手に入るものじゃないんでしょ?お金とか物凄くかかるんじゃないかとアイリーンが心配する。
「わたし、いまのままでいいのに。」「そんなこと言ったら、エリックががっかりするよ。」
マリエルはエリックがアイリーンの目を治すために錬金術の道へと進んだ経緯を知っていた。
アルフレッドが用事を思い出したと切り出し、その場を離れていった。
アルフレッドが居なくなった所で、アイリーンがマリエルに尋ねる。
「…ねえ、マリエルとアルって、どういう関係?」「そりゃ、借金とり…あわわ。」危うく口を滑らす所だったマリエル。
「え、えーと、アルはなんて言ってたの?」「…ビジネス上の付き合いだって…ホント?」
「う、うーん、そうなのかな、そうかもしれない。」決まりが悪そうに答えた。
「アルは自分のことをなにも教えてくれないの。触られるのも嫌がるし。ものすごく自分の外見をきにしてるみたい。」
アイリーンは、もし目が見えるようになったら真っ先にアルに会いたい、彼の正体や見た目なんて自分には関係ない、
それを彼に知ってもらいたいのと言った。
家に帰ると願いの花がつぼみをつけていた。
つぼみに触るとアルフレッドの想いがマリエルに伝わってきた。
アルフレッドとアイリーンが初めて出会った時の事…。
迷いの森でバイオリンを弾くアイリーン。そこにアルフレッドがやってきた。アイリーンは何者かの気配に気づき演奏をとめる。
「だれ?だれか居るの?」「ご、ゴメン。邪魔するつもりはなかったんだ。お、オイラこんな姿してるけど怪しい者じゃないよ」
と、アルフレッドがうろたえる。
「あんまりステキな曲だったから、つい誘われちゃって…。おどかしてゴメン。すぐ消えるから。」
アルフレッドがその場を後にしようとしたとき、待ってとアイリーンが呼び止める。
めったに人が来ない場所だからちょっとびっくりしてしまっただけとアルフレッドに言った。
「こんな場所でオイラみたいなのに会ったら、そりゃびっくりするさ。」アイリーンはくすっと笑う。
「あなた、そんなに怖い顔してるの?」「…え?きみ、もしかして目が…。」「ええ、見えないわ。」「ご、ゴメン。」
「でも、いいこともあるの。怖がらないであなたとお話できるわ。」
願いの花に触れたマリエル。「アルフレッド…。」
いつの間にか小屋に入っていたアルフレッドがくしゃみをし、誰かがオイラの噂をしてるなといった。
アルフレッドは仕事の依頼をマリエルにする。内容は水の迷宮の探索、報酬は妖精のレシピ。
水に迷宮に何があるの?と聞くフィオナ。水の迷宮には月のしずくがあるという噂だと、アルフレッドが答えた。
願いの花からアルフレッドのアイリーンに対する思いを汲取ったマリエルはアルフレッドの依頼を受ける。
そして、アルフレッドも水の迷宮の探索に同行する事となった。
「このことは、アイリーンには黙っていてくれ。」と一言いい、アルフレッドは小屋を後にした。
マリエルとアルフレッドは水の迷宮の探索をし、最深部の部屋にたどり着く。
上を見上げると部屋には天井がなく吹き抜けとなっていた。
台座にあったグラスに妖精の力を借りて水(=形なき鏡)を満たし、
月(=天にあり夜移ろうもの)が出てくるのを待つ二人。
どうして、ここに月のしずくがあるって知ってたのと聞くマリエル。
「アレ…の魔力は呪いを解くことができるそうなんだ。」「呪いって…なんの?」
「たとえば、猫にかえられた人間を元の姿に戻すとか。」「アルフレッドって人間だったの?」
アルフレッドは持っていた写真をマリエルに見せた。写真には少年の姿がある。「…これがアルフレッド?」
「そうさ、カッコいいだろ。」「…そうだね。」
「でもオイラ、人間だったときの記憶がないんだ。ボスに拾ってもらったときに、その写真だけ持ってたんだそうだ。」
そして月が現れる。グラスに張った水が、遥か上空にある月を捉えた。眩い光が辺りを包み、月の妖精が姿を現す。
月のしずくは自分が守っていると、月の妖精は言う。アルフレッドは月のしずくが欲しいと月の妖精に願うが、
お前には渡すわけには行かないと拒まれる。どうして?と言うアルフレットに対して月の妖精は、
「たしかにおまえには呪いがかけられていますが、それを解くことはおまえのためにならないでしょう」と答えた。
「…なんだって?」「よくない運命がまっています。悪いことは言いません。そのままお帰りなさい。」
続いてアイリーンのために月のしずくが欲しいというマリエル。月の妖精はその求めに応じ、マリエルに月のしずくを授けた。
「…人間になったら、目の治ったアイリーンと会う計画だったんだがな。やれやれ、はかない夢だった。」
アルフレッドはがっかりした様子だった。
月のしずくはどうするの?とアルフレッドに聞くと、エリックに渡しておいてくれとアルフレッドは言う。
「だって、アイリーンの目が治ったらどうするの?正体を隠したままじゃ会えなくなるよ。」
「しかたないさ、アイリーンに会ったら、旅に出たとか言ってごまかしてくれ。」「だって…。」
「いろいろありがとな、マリエル。」その後アルフレッドは数日間マリエルの前に姿を現すことはなかった。
錬金術師エリックに月のしずくを渡すマリエル。エリックは大喜びをし、早速アイリーンの目を治す薬の合成に取り掛かった。
程なくして薬は完成した。エリックはアイリーンの薬を使用する。
「…なにか見えるかい?」「兄さん?」「うん、ぼくは目の前に居るよ。」その場にいたマリエルの方向へ振り返るアイリーン。
「あなたが、マリエル?」「うん。そうだよ。」「見える…見えるわ。ありがとう、兄さん。」
お礼なら月のしずくを持ってきたマリエルにと言うエリック。
「あ、でもそれは、アルが場所を知ってたから…。」そう言った後、口止めをされていた事を思い出すマリエル。
「アル?」聞きなれない単語に反応するエリック。
とっさにマリエルは「あ、ある場所に心あたりがあって…。」と言い直した。
エリックは忘れないうちに合成の記録を残すると言って作業に着手した。
「そう…アルだったの。」エリックはごまかせたが、アイリーンをごまかす事は出来なかった。
何を言っても言い訳がましくなってしまうマリエル。「来ないと思ってたら、そんなことしてたのね。…あたしのために。
ああ、わたし…アルのことがほんとうに好きになってしまったみたい。どうしよう。」
両手を両方の頬に添えながらアイリーンは呟いた。「どうしようって…。」
「信じられない…アルってわたしの王子さまだったのね…。アル、待っててね。すぐに会いに行くから…。」
小屋に戻ったマリエル。一部始終をフィオナに報告すると、アルフレッドが王子さまなんておかしーと大笑いする。
アイリーンの真剣さを知っているマリエルは笑い事じゃないとフィオナに怒った。
フィオナなごめんごめんと謝り、相思相愛なら良かったじゃないと言う。
本当の姿を隠して会っていたのはまずい、姿は気にしないんでしょ?、まさか猫だとは想像してないと思う、
そんなやり取りをしていると、小屋に来客が訪ねて来た。
アイリーンはアルフレッドの居場所をマリエルに教えて貰うために訪ねて来たのだという。
「あー、あたしは…。」「わかってるのよ。…アルに口止めされてるんでしょう?」
マリエルは図星を付かれてしまった。驚いたマリエルは、つい「えっ、どうして?」と聞き返してしまう。
「…やっぱり知ってるのね。」としっかり誘導尋問されてしまう。「…あ。」
「ごめんね。でも、どうしても彼に会いたいの。お願い。」ばれた上に、アイリーンの気持ちをむげに出来ないマリエル。
ついに折れて、アルフレッドの居る場所へとアイリーンを連れて行くことになった。
母屋へアイリーンを案内するマリエル。しかし、そこにアルフレッドの姿はなかった。
マリエルの家に下宿してるの?と驚くアイリーン。ちょっと違うかなーと答えると、なんか複雑なのねと察したようだった。
ここ数日間マリエルもフィオナもアルフレッドのことを見かけていなかった。
「きょうもいつもの森でまってたんだけど、来てくれなかったわ。…わたし、避けられてるのかしら。」
「ホントにだれも居なかった?」「ええ、だれも。…黒猫が一匹居たくらい。」「あ、あー…。」
自分は嫌われてしまったのかと心配するアイリーン。マリエルはキライなら危険を冒してまで月のしずくを取って来ないと、
アイリーンを慰める。
アイリーンの音楽学校の休暇はもう終わりに近づいていた。休暇が終わればまた音楽学校のある街へと帰るらしい。
そこで目が直ったお祝いも兼ねて、今夜壮行会を開いて貰う事になり、そこでアイリーンも演奏する事になってるが、
アルフレッドにも来て欲しいのだと言う。マリエルはアルフレッドを見かけたら言付けすることを約束した。
その日の夜。壮行会の会場は宿屋兼酒場(フラニーの家)であり、既に何人かの客がやって来ている。
エリックからアイリーンが宿屋の2階で準備をしていると聞き、マリエルはアイリーンの元へと向かった。
アイリーンは宿屋の2階の廊下で窓の外をみて佇んでいる。
皆が待っているとマリエルが言うと、アイリーンは皆の前で演奏するのが怖いと言った。
アイリーンは何度も演奏会をしたことあるでしょ?と聞くマリエルだが、
目が見えなかった故に人の視線を気にせず演奏できていたことを明かすアイリーン。
「わたし、どうしたらいいの…アル…たすけて…。」次の瞬間、マリエルはアイリーンの向こう側に立つアルフレッドを見つけた。
それと同時に廊下の電気が切れ、辺りは真っ暗闇になる。
「なにが起こったの?わたし、また目が見えなくなったのかしら。」辺りを見回すアイリーン。しかし何も見えない。
「ちがうよアイリーン。」暗闇の向こうからアルフレッドの声がアイリーンの耳に届く。
「…アル?来てくれたのね?」「うん、…きみが勇気を出して踏み出せるように。」
「勇気?…ううん。わたしダメなの。足がすくんじゃって。」「以前のきみは、ものごとを心で感じていたはずだ。
それを思い出すんだ。」アイリーンを励ますアルフレッド。「わたし、感じるわ…そこに居るのね。アル。」
「お願い…もうひとつだけ、勇気をちょうだい…。」「…わかった。」アイリーンが両手を前に差し出し、アルフレッドが歩み寄る。
その時、願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【勇気】の妖精の誕生。
アルフレッドの気持ちはアイリーンに伝わった。
「さあ、行こう。下でみんなが待っている。」「…ええ。」
アイリーンの演奏は無事に終わり、その場にいた客達から大きな拍手を貰う。
演奏を終えたアイリーンの元へマリエルが近づく。「マリエル…アルは?」「…これを、アイリーンにって。」
それはいつかアルフレッドがマリエルに見せた、アルフレッドが人間だった頃の写真であった。
写真には、アルフレッドからのメッセージが書き綴られていた。
「親愛なるアイリーン。ずっと君をだましていたオイラを許しておくれ。オイラは闇の世界に生きるしかないけど、
きみは光の中を歩いていかなくちゃいけない。オイラはいつまでも君のことを応援しているよ。−さよなら。アルより。」
「そんな…どうして?」「どうして?どうしてなの、アル…。」思わずその場で泣き出してしまうアイリーンであった。
翌日の朝、アイリーンが街を去る日。街の出口で見送るエリック。エリックがアイリーンにしっかりやれよエールを送る。
アイリーンもまた兄を気遣い、身体に気をつけてと声を掛けた。
そこにマリエルが見送りにやってきた。「アイリーン…あのね…。」
「まって。いま、アルの気配を感じたわ…。」目を閉じるアイリーン。
目を開くと視線の先には屋根の上でくつろぐ黒猫の姿があった。「…ネコだったわ。さよならマリエル。アルによろしくね。」
「うん…元気でね。」「ありがとう。」アイリーンは微笑んだ。
そしてゆっくりと街を背にし、歩き出す。「…さよなら、わたしの王子さま。」誰にも聞こえない声でそう呟く。
アルフレッドは遠くに消えていくアイリーンの姿をずっと見つめていた。
借金ノルマを返済し7月を終える。
前スレの575、このスレの
>>383、次スレの93までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。
「デススマイルズ」のストーリーを教えてください
ドラえもんのび太のBIOHAZARDのリクエストを取り消します。
388 :
DMC4:2008/03/09(日) 08:49:46 ID:2qo49zkV0
書き手&まとめ人のみなさんおっつーです
まだ埋まってないみたいなので埋めいっときます。ノベライズでごめんね(´A`)ノシ
季節はずれの蝉に似た、耳障りな喚きが虚空に消えるのを待つこともなく、ネロは出し抜けに発砲した。
眉間に迫った弾丸をふっ、と身を沈めて難なくかわした相手へ即座に銃口を下げて更に一発。
だが砕かれた石像の欠片が跳ねたのみ、男は猛禽のように両腕を広げ、とうに宙へと逃れている。
気付くやそれを追って跳躍したネロは、両足をあぎとのごとく大きく広げ、がっちりと敵を捕まえた。
向けてきた左腕を右脚で挟んで黒銃の矛先を避け、間髪入れずに伸ばされた右腕を
左足で絡め取って銀銃の火線を逸らさせる。
相手の胸板の上に胡坐をかいたような姿勢から今度はこちらの番とばかりにネロのブルーローズが火を噴いたが、
男は喉を反らして鼻差でかわし、固められた腕を逆手に取って、それを支点に巴投げのようにネロを投げ飛ばした。
が、「うわっ」と一旦は驚きの声を上げたものの、それで引き下がるようなネロではない。
投げの反動で広がった男のコートの裾を引っつかみ、生じた遠心力を上乗せして男を投げ返す。
きりもみ状に身を捻り、つい数刻前と同じようにスパーダ像の頭部に着地した男が、数刻前と同じようにはっと顔を上げる。
ロケット弾の勢いでネロが男の頭上に落下してこようとしていた。
しかし、その攻撃もまた男に逆手に取られることとなる。
ひょいと身を引くと同時に彼は再び宙へ飛んだ。ネロが跳ね飛ばした彼の剣を捕らえるためだ。
衝撃に澄んだ音をたてて鳴く獲物を手にするや、それを振りかぶって稲妻のごとく落ちかかる。
仰ぎ見て、ネロは咄嗟に銃を盾にするが、それで受け止めきれる衝撃ではない。
前のめりに足を踏み外し、スパーダ像とそれが杖にした巨大な魔剣の両面に激しく総身を打ちつけながら落ちていく。
伸ばした足と腰を突っかい棒に、背中全体をブレーキにして何とか像の脛辺りで落下を食い止め、
腹いせまがいに頭上に向かって発砲するが、勿論そんな闇雲な攻撃が効果を生む訳も無く、
男はあっさりそれをかわした。
すると像の頭上から魔剣の柄尻に組んだ拳へと、止まり木の間を渡るように
ふわりと移動した相手を見たネロの喉から、遠吠えにも似た叫びが漏れる。
一旦腰を落として肩を沈み込ませ、壁に押し付けて彼は全力で「伸び」をする。
何たる怪力か、次の瞬間には魔剣を模した鉄塊が甲高い悲鳴を上げ、支えきれずに像の拳が轟音を立てて砕けた。
巨大な刀の先端で長剣を肩に担ぎ、悠然と待ち受ける男を目がけ、ネロは傾いていく刃の坂を駆け上がる。
けれどもネロが眼前に迫っても何故か男はもう銃を抜かなかった。
だからと言って剣を構えることもない。相変わらず何の苦もなく男が鼻先に放たれた銃弾を避け、
続く銃底での攻撃も避けて、二人はお互いの靴底を蹴りつけて左右に跳んだ。
耳を聾するような響きと共に、モニュメントの剣が観客席へともんどりうってダイブする。
着地したネロは男に銃を向けたが、照星の向こうの相手はやはりのんびりと剣を担いだままで、
殺気らしい殺気も見せない。
「余裕たっぷりだな」
そう言われて薄い笑いさえ浮かべた男に、ネロは低く吐き捨てた。
「ムカつく野郎だ」
389 :
DMC4:2008/03/09(日) 08:52:15 ID:2qo49zkV0
ブルーローズの弾倉をスイングアウトして排莢したネロは、リローダーを放り投げ、
身を翻しながら宙に踊った六発の弾丸すべてを拾い、再装填する。
隙を極力殺すためのアクションだった筈だが、銃口を向けた先から標的の姿が消えていた。
構えを解く訳にもいかず、手をとりあぐねてそのまま僅かに乱れた呼吸を抑えつけつつ
気配を窺っていると、後ろからこつりこつりと靴音が響く。
挑発のつもりか、あるいは本気でそう感じているのか。
物珍しげな素振りで男が聖堂の装飾を見回していた。
「銃だけじゃ無理か……」
呟き、ブルーローズをくるりと回して仕舞い込むと、ネロは背後の床に刺さった長剣を蹴りつけた。
男の犠牲となった教団騎士のいずれかが残したものだろう、回転して落ちてきたそいつを掴み、
叩きつけるようにしてもう一度足元に突き刺すと、剣柄に仕込まれたグリップを捻る。
すると長剣はバイクのエキゾースト音そっくりの唸りをあげ、赤い光を発しながら身震いをした。
推進力を与えられたことにより破壊力を増す、教団特製の機械仕掛けの剣だ。
「その剣、飾りじゃないんだろ?」
こちらは掛け値なしの挑発に、振り向いた男は今はじめて気づいたかのように
「ん、これか?」とでもいうような視線を肩から下ろした長剣
……剣の背に角を持った髑髏の飾りが刻まれている……に向けると、
おもむろにその剣先をこつんと床に当て、くいくいっ、と小さくひねって見せた。
大仰な挑発よりさりげないおちょくりの方が腹が立つ、
それを実証するかのような怒り心頭に発した雄叫びを上げて、ネロはまっしぐらに駆け出して行った。
けれど、怒りに任せた攻撃は長くは続かなかった。
加えて元より片手が封じられた状態で全力が発揮できる訳がなかったのだ。
ネロに合わせてくれたつもりか、男もまたほとんど片手のみで剣を振るってはいたが、
それにしたって元々体格差があり、バランス移動の点でも水を開けられている。
一合、一合、剣を合わせるごとに力の差が開く。
とうとう受けきれなくなり、背後に飛んで勢いを逃がそうとしたが、追いつかれて更に高い位置からの斬撃に襲われる。
これは何とか受けたものの膝をつき、必死に顔を上げたそこには既に、大きく剣を振りかぶった相手の姿があった。
辛うじてこれも受けたが最早その場しのぎにしかならなかった。
よろめき、たたらを踏んでついには圧倒的な力でもって剣を跳ね飛ばされてしまう。
きりり、と大剣を取り回して脇に引き付け、男はあくまで冷酷に、とどめの一撃を繰り出した。
390 :
DMC4:2008/03/09(日) 08:56:53 ID:2qo49zkV0
無慈悲な刺突は、あやまたず丸腰の相手に迫ったが、
ここで一体何の悪足掻きか、ネロはその喉元を切り裂かんとする切先の前にギプスに包まれた右腕を突き出した。
カツッ、と硬い音がする。
だがそれはギプスの音ではない。
そんなものは何の意味もなく男の剣に突き通され、続いて生じた
周囲の座席全てが吹っ飛ぶような衝撃波によって跡形もなく消え去っている。
「……どういう仕掛けになってんだ?」
これまで終始無言を貫いていた男が事ここに至って初めて興味深げな声を漏らした。
「喋れるのかよ……」
荒い息を吐きながら、ネロは盾にした右腕からゆっくりと顔を上げる。
露になったその腕には、押し付けられた剣先を受け止めている事以上に異様な点があった。
まるで堅固な鎧さながらの赤と青の甲殻に覆われていて、殻の隙間からは眩いばかりの光が溢れ出している。
あのギプスは傷口を庇う為ではなく、この人ならぬ異形の右腕を隠すためのものだったのだ。
「だが、種明かしは―――してやれないな!」
小さな稲光すら発している右手の感覚を確かめるかのようにごくりと一度開閉させ、ネロは勢いよく腕を振り払った。
それだけで壁際にまで飛ばされた男は、
「まさかお前も……」
けれど何故か楽しげに鼻で笑って振り返ったが、その言葉を途中で途切れさせる。
本当にどういう仕掛けなのか、腕から生じた巨大なオーラの手で巨大な剣を掴んだネロが、
馬鹿力に物を言わせて……というレベルで済むのかどうか……それを投げつけようとしていた。
次の瞬間、必殺を期して飛来した鉄の固まりを男がすいっと上体を逸らすだけでかわし、
おかげで背後のスパーダ像の片膝に大穴が開いた。
惨状をかえりみて、しかしさすがに呆れ顔で再度振り向いた相手に見せ付けるように
ネロはパンパンと掌の埃を払い、軽く肩を回した。「人が来る前に終わらせてやる!」
391 :
DMC4:2008/03/09(日) 08:59:08 ID:2qo49zkV0
ばちんと小さくスパークが走り、男が彼の剣を受け止めたネロの右手に目をやった。
が、何をする間もなくネロが身を捻り、男は空に円を描いて投げ飛ばされる。
散乱していた長椅子が男の尻を受け止めて、背後の他の椅子達を掃除しながら滑っていったが、
それが山になって勢いが消えると、何事もなかったかのように椅子に座って脚を組み、
片肘をその上に乗っけてこちらをニヤニヤと眺めやる男の姿がある。
「まだやるか?」
欠伸さえ漏らしそうな様子で背もたれに寄っかかると、
「来いよ、遊んでやる」
床に突いていた剣を持ち上げ、肩で息をするネロをちょいと指して見せた。
「タフだな……」
毒づきつつ男に背を向け、床に突き立っていた剣を抜いて、そいつでとんと肩を叩いたネロの目に剣呑な光が宿る。
「じゃあ―――」
言いかけて、みなまで言わずに出し抜けに振り向くや、傍らの長椅子を男に向かって蹴りつける。
無論そんなフェイントが通じる訳もない。
男はそれを踏み台にして、スプリットした椅子の山を尻目に高々と跳ね、
だが、そこには鏡合わせに跳躍したネロがいる。
空中で一合、着地してすたすた数歩を歩き、振り返った男は更ににやりと唇の端を吊り上げた。
新たに組みあがった椅子の山、その頂上に剣を担いで腰掛けて、危ういバランスを取りながらネロが言う。
「徹底的に叩くまでの事だ」
「そりゃ楽しみだ」
出来るものならやってみろ、そう言わんばかりに男は腕が広げ、
ネロは親指で鼻の頭を弾いて鼻を鳴らすと足元を蹴って飛び降りた。
雄叫びと共に、渾身の力で持って叩きつけられたネロの拳を、男は剣をかざして受け止めたが、
異形の腕が与えた力か、両腕で支えているにも関わらず、あっという間に押し負けて弾き飛ばされる。
吹き飛びながらもそちらへ顔を振り向けたのは見事としか言いようがないが、
相手を殴り飛ばすのと同時に人知を越えた速さでダッシュして追いついてきたネロが
その足を引っつかんで引き寄せ、逆の手で剣を持った右手を捕まえた。
とっさに左手で顔をかばったけれど、庇い切れずに強烈なストレートを顔面に食らい、
巻き添えを食らった石の床が背中で粉々に砕ける。
跳ね飛んだ男の剣がきりきりと空を舞い、床に突き立った。
ネロはそのまま男の髪を掴んで馬乗りになり、狂犬のような連打をその顔に見舞わせる。
何の考えあってのことか、男はされるがまま相手の攻撃を受け続けたが、
投げ出された腕が衝撃に跳ねるつど、赤い稲妻を孕んで姿を変える。
それは形こそ違うものの、ネロと同じく人の姿をしていない……。
392 :
DMC4:2008/03/09(日) 09:06:00 ID:2qo49zkV0
が、ネロはそれに気づかない。殴るだけ殴ると、その手で頭を掴んで床の上を引き回し、思い切りよくブン投げた。
スパーダ像に叩きつけられた相手が落下を始めるより早く、
追い討ちに投げつけられた男の剣がその胸板を突き通し、男は標本のように石像の上に縫いとめられる。
剣を投げつけた姿勢のままで喘ぎながら見守っているネロの耳に浅い溜息のような残鳴を残し、
男はがくりと首を垂れ、動かなくなった。
反動でぶらぶら揺れる死体の腕をしばらく睨みつけていたネロは、やがて上がった息を抑えつつ、
散々手こずらされた相手に忌々しげに背中を向けたが、やれやれと肩を回すのもものかは
「やるな……」
低く響いた声にぎくりとして背後を振り返ることとなった。
凝然と見守る瞳の前で、死んだはずの男がゆっくりと顔を上げる。
「ちょっとお前の力を―――」
囁くように言いながら肘で石像の壁を押し、「甘く見てた」押し出すように吐き捨てて、
自らを縫いとめた剣をそこから引き抜く。
戒めを解き、すとんと像の足元に着地した男に
「人間じゃない……」
ネロが低い声で問いかけると、男は自嘲じみた息を漏らし、
「お互いサマだろ。お前も―――」
おもむろに胸から生えた愛剣を両の手で挟み、力をこめた。
「俺も―――」
像から脱出した時よりも大量の血がしぶいたが、痛がる素振りも見せずに更にぐい、ぐいと前に向かって力をかける。
そうしてとうとう引っこ抜いた剣の先でかつんと床を叩いた男は、
けれどやはり多少はダメージがあったのか、息を弾ませながら凄みを増した笑みを刷き、何故か周囲を見渡して……
「―――こいつらも」
妙な言葉を口にした。
393 :
DMC4:2008/03/09(日) 09:08:29 ID:2qo49zkV0
眉を寄せ、そちらにやったネロの視線が、とある聖堂騎士の死体の上に止まる。
転がった兜の脇に横たわる死体……その皮膚は黒く干からび、突き出した乱杭歯を持ち、
見開いた目は異様な光を宿していて……どう見ても人間には見えない。
「お前は少し違うみたいだがな」
投げかけられた声に慌てて振り向くがそこに男の姿はなく、
顔を上げ、ステンドグラスが割れた天窓の枠に腰掛けているのを発見する。
「何の事だ?」
イラつきも露に突きつけた指を
「そのうち分かるさ」
と、はぐらかし、足を振って反動をつけると男は立ち上がった。
「俺は……仕事があるんでね」
腰を軽く払って埃を落とし、去ろうとするのに
「おい!」叫んでネロは発砲するが、当然弾丸が跳ね上げた土埃の向こうに男は居ない
……と思いきや、ひょいと天窓の端っこから顔を覗かせる。
「アバヨ、坊や」
わざわざそれだけを言いに戻ってきたのか、最後まで舐めた態度で指を振ると、今度こそ男は姿を消した。
それと前後して、今更現れた応援の騎士たちがばたばたと聖堂に駆け込んでくる。
先刻の「人が来る前に―――」という言葉通り、それは彼だけの秘密なのだろう。
安否を問うつもりか、こちらに駆け寄ってきた騎士から庇う風にしてネロは右手を押さえ、
脳裏で男の言葉を反芻しているかのようにもう一度、誰もいない天窓を睨みつけるのだった。
394 :
DMC4:2008/03/09(日) 09:11:58 ID:2qo49zkV0
あちこちに散らばる瓦礫、前面が削り取られ、価値のないがらくたと化したスパーダ像……
廃墟同然になった聖堂を苦い顔で見回し、クレドが歩いていく。
教壇の紋章が刻まれた、彼女の身長ほどもある何かのケースを、
余程重いのだろう、うんうん言いつつ体全体を使い、キリエが一生懸命運んでいる。
歩み寄ってきたネロがその肩に手を置き、
「持ってきたのか」
荷物を受け取りながら優しく尋ねかけた。右手は肘まで捲り上げていたコートの袖を下ろし、目立たないようにしている。
「兄さんに頼まれたから……」
キリエのいらえにクレドはちらりと背後を見やるものの、結局振り返ることはせずに観察に専念している。
「助かるよ。これで仕事が楽になる」
左手一本でネロは勢い良くケースをひっくり返すと床に寝かせ、蓋を開いて何やらごそごそやりだした。
キリエは少しの間、それを見ていたが、ふと辺りを見渡し……何かを見つけたらしい、とある一角に向かって歩いていく。
床できらりと光るもの……踏み潰されるのをそのままに逃げざるを得なかった、あの青い小箱の中身だ。
眉をひそめて座り込み、両手に取ったそれが無傷のままだと気づいたキリエの頬にうれしげな笑みが浮かぶ。
珊瑚色の細長い石に絡んだ一対の金の羽、そしてその上にもう一対、広げた金の羽があしらわれたペンダントだ。
「フォルトゥナ城か……」
膝を突いて、ネロは「それ」を床に突き立てる。
「目撃者がいる」「殺人鬼が観光名所めぐりとはね」
応えたクレドに愉快そうに返し、グリップを捻って唸り声を上げさせた。
赤いグリップ、いばらの意匠が施された赤い増幅器。特別に強化されたネロだけの剣、「レッドクイーン」だ。
「真剣にやれ!」
掣肘する物がなくなって、当然クレドは怒鳴り声も荒々しくネロを叱りつけた。
しかし蛙の面に何とやら、ネロは剣を担いで得意げな目線を寄越すだけだったが、
「逃がすなよ」
クレドはそれを更に押さえつけるような低声で念を押す。
「分かってるさ」と、すくめたその肩に「無理をしないようにね」気遣わしげな声がかけられた。
「それが仕事なんだ」
やや厳しくした顔で振り返ったネロは、僅かな驚きと共に目を見張った。
はにかんで逸らし、でもその後にまっすぐ見上げてくるキリエの目。
その胸元には混乱の中に無くした筈だったあのペンダントが光っている。
それで彼の表情は和らいだが、すぐに取り繕うようにまじめくさった顔になり、
けれど幾分落とした声色で「非常事態だしな」と付け加えた。
それでも心配そうな様子のキリエの脇を、
「私は本部に戻る」
足早に通り過ぎながらそう言い置いたクレドの姿が出口へと消える前。
不気味な地鳴りが辺りに響き、思わず動きを止めた一同の上に、細かな砂が降ってきた。
395 :
DMC4:2008/03/09(日) 09:21:13 ID:2qo49zkV0
結構まだ行けるみたいっすね……そして五行まとめー
バトルに突入したものの、相手はなんだか手加減してるみたい…なのに結局ピンチになっちゃった!
だけどみんなには秘密にしてるけど、実は俺の、俺の、俺の、俺の、俺の、俺の、俺の右手はデビルハ〜ンド!!
なので相手をボコにし返します。けどなんと相手も人間じゃなかった!!
そしてやられた聖堂騎士の皆さんも人間じゃなかった!!そして敵には逃げられた!!
上司に命令されたんで、取り合えず奴を追ってフォルトゥナ城(観光名所)に向かうことにします!!続く!!
乙すー
乙
まとめがテラフランクw
_人人人人人人人人人人人人人人人_
> ゆっくりしていってね!!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
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Joseph Stalin Mao Zedong