マキシム「アイリスさん……いや、ちがう。」
エリーヌ 「…………。」
マキシム「あなたの波動を感じます。……エリーヌと同じ波動を、
どうしてなんですか?どうして、敵のあなたが、私を何度も助けてくれたのです?」
エリーヌ 「この戦いは、神族にとって、審判の戦いだったのです。」
マキシム「審判の戦い?」
エリーヌ 「デュアルブレードの波動に共鳴する者、
つまり、あなたの出現は神から人間が自立して行く事を意味するのです。」
マキシム「神から自立する?」
エリーヌ 「デュアルブレードは神を倒す剣です。もし、その剣で人間が神との戦いに勝利できれば、
もう人間に神の手助けは、必要ないのです。」
マキシム「それでは、人間には、もう神のかごは必要ないと言うのですか?」
エリーヌ 「いえ、それには人間は、まだ幼すぎるのです。アレクディアス様は少なくてもあと1000年は、
デュアルブレードは共鳴しないと考えていました。しかしデュアルブレードは共鳴を始めてしまった……。
それで、私が、あなたの元へと現れたのです。すべてを見とどけるために。」
マキシム「…………。」
エリーヌ 「でも、私は必要以上にあなたに手をかしてしまった……。
なぜ、そんな事をしたのかは、私にも、わかりません……。」
マキシム「アイリスさん。この島は、パーセライトに向かって落ちているのです。
あなたなら、止める方法を知っているのではありませんか?」
エリーヌ 「……知っています。しかし、教える事はできません。」
マキシム「なぜです!?」
エリーヌ 「私は、殺りくを司る神です。その私が、多くの人を救う事はみずからを否定する事になります。」
マキシム「……でも、あなたは、アイリスさんの姿で、私の前に現れているでは、ありませんか!」
エリーヌ 「――――――!」
マキシム「私の知っているアイリスさんは、私を助けてくれ、
死んで行った多くの人に、祈りをささげてくれる人でした。」
エリーヌ 「………………。」
マキシム「私に旅立ちを決意させ、多くの人との出会いを作ってくれたのもあなたでした。」
エリーヌ 「…………もう、時間がありません。私の残留波動も、そろそろ消えます。」
マキシム「教えてください、アイリスさん!」
エリーヌ 「この島の下部には、島をせいぎょする魔石が三つあります。
それを破壊すれば、島の軌道は変るでしょう。
しかし、その魔石は、強力な波動をぶつけなければ、壊す事はできません。
三つ壊すとなると、あなたの命が――」
マキシム「――わかっています。」
エリーヌ 「私の最後の力で、下部へのとびらを開きます。
この島がパーセライトに落ちるまで、もう時間がありません。
私はもう手助けできません。あとは、あなたしだいです。」
みずからの未来を切り開く力が人間にあるかどうか……。私は……遠くで見とどけています。」