( ;∀;)イイハナシダナー 2

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794ゲーム好き名無しさん
高3の夏の事
友人の紹介でFFのテストプレーヤーのアルバイトをする事になった。
発売前のゲームで遊べ、しかも金までもらえるなんてこんなオイシイ
バイトは無いと、意気天を衝く思いで夏休み丸々一ヶ月働くことにした。
しかし行ってみると現実はそんな甘い物ではなく、来る日も来る日も
同じ作業をやらされる日々。
行動は厳しく制限されており、休憩中の買出しももちろん、トイレに行く
のも監視係の許可が必要だった。
何よりも腹立たしいのは、開発チームの下っ端と思われるひょろメガネ
が必要以上にバイトに対して高圧的だったこと。
またそいつは自分の得点を上げるつもりか、バイトが見つけた事を
「こんなバグ見つけましたよ」とか「ここはこうした方がいいような」
などと上司に報告して自分の手柄にしていたこともあった。

自分の立場は理解してるつもりだったが、とにかくひょろメガネに対して
反抗心を抱いていたオレは、そいつが監視係の時はあえて無視して席を
離れたり、違う階のトイレを使っていた。
奴の管理能力のなさを知らしめてやるつもりだった。

当然のように別階のトイレで用足していた時、一人の男に声をかけられた。
「キミ、バイト?こんな所のトイレ使っちゃだめだよ」
少し会話を交わして多少気が合ったのか、その日の夕食に誘われた。
その人物が当時副社長だった坂口博信。

バイトも終わり指定された場所に行くと、坂口博信と一緒に普段よく
見かける開発メンバー達がいた。
そしてよく見るとひょろメガネも隅の方に小さく座っていた。
軽くあいさつを済まして席に座ろうとすると、唐突にひょろメガネが
「なんでキミがこっちに座るの!?」
とまた偉そうに声を張り上げたのだった。

「いや、オレが呼んだんだよ。たまにはプレイヤーの意見も聞こうと
思ってさ。」とすかさず坂口氏はフォロー。
バイトの中でも目立つ存在だったオレは、他のメンバー達にもよく知られていた。
そしてなによりひょろメガネ以外のメンバー達とは、よく会話も交わしていて
親しい関係でもあった。
夕食時の会話はほとんどゲームに触れず、もっぱら趣味は将来の話などをした。
「大学なんか行かないで、ウチに就職しにこないか?」と誘われたりもした。
その間ひょろメガネは一言も会話に参加せず、浮いた存在である事が推して知ることとなった。
少しひょろメガネがかわいそうになったオレは、少し敬ってやることにした。
後に仕事の関係で何人かと再会したことがあった。
お互い覚えているような、無いような感じで当時の事などを話した事もある。

坂口博信の名前を見ると必ず思い出す。
自分がゲーム内容で指摘した事が、製品版ではいくつか改善されていた事。
なにより嬉しかったのは自分の名前が、エンディングロールに入っていた事。
SFCが壊れてとっくに捨てた今でもFF5は大切に持っている。