締符「東方シリーズ総合スレッド 2890/2890」
「…………」
「…………」
一瞬とも万年とも思える、凍ったような沈黙。
彼は私の言葉の裏、私の胸の内までを咀嚼するように暫し瞑目し、そして……
「うん、分かった」
……先刻のウドンゲを彷彿とさせるような、眩しい笑顔を視せてきた。
「……………………いいの?」
「ああ。日本男児に、二言は無い」
いつもの爛漫な笑顔そのままに、彼の手が私の方にそっと伸びて……
「あっ」
……引き寄せられるままに、私の身体が彼の腕の中に収まる。
「……いいの? 私、貴方が思っているより、ずっと怖い女よ?」
「怖くなんてあるもんか。俺を選んでくれた、誰より大切な人だ」
「…………きっと、永く辛い道になるわよ?」
「大丈夫だよ。姫様も居るし、妹紅も居る。鈴仙やイナバの子達も居るし……俺だって、ずっとついてる。
きっと、地獄だって楽しめるさ」
かつての私は、知っていたのだろうか。
――人の腕の中が、こんなにあたたかいものだという事を。
「永琳」
彼の指が、私の顎をそっと上を向かせる。
「あ……」
少なくとも幻想郷に来てからは覚えの無かった潤みを目元に感じながら、私はそっと瞳を閉じた。