締符「東方シリーズ総合スレッド 2890/2890」

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463ゲーム好き名無しさん
遠い昔。まだ私がただの妖怪に過ぎなかったあの頃、一人の友人が居た。
その友人に、こう相談した事があった。

「私、神になろうと思うの」

我ながら突拍子も無い事を言ったものだ。
だがその友人は、私の予想を遥かに越えて頭のネジが飛んでいた。

「良いんじゃないかしら? 貴女にならできるわよ」

そう言って、真面目に切り返してきたのだ。
友人は、入り口はどこが良いとか、どれ位の広さまでなら無理がないとか、私よりも真剣に考えてくれた。
そして、その友人の助けもあり、私だけの世界の土台が出来上がった。
後は生命を生み出すだけとなった時、友人はこう言った。

「さて…、私はここまでね。後は貴女が一人でやるのよ」

友人の言った意味が判らず、呆然と見つめ返す。
私は当然友人も来てくれるものだと思っていたのだ。

「なんて顔してるのよ。創造神が二人も居たら大変でしょうに」
「で、でも…」
「ほら…私を困らせないで。貴女の夢が叶うんでしょう? さあ、さっさと行きなさい」

そう言って友人は私の背中をそっと押し出す。
私の身体はそのまま魔界へと押し込まれる。
一緒に来て欲しい…。そう言う想いをもう一度込めて、友人へと手を伸ばす。
だが友人は首を左右に振った。

「入り口は、私が閉じておくから」

その言葉と共に入り口が閉ざされてゆく。

「さようなら。魔界の神――」

思えば似た者同士だったのかもしれない。
出会った時から、妙に気が合った。
本当に永い時間、共に過ごして来た。
だから私は、そんな友人に感謝を込めて別れの言葉を紡いだ。

「さようなら…。境界の女王――」