締符「東方シリーズ総合スレッド 2890/2890」

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348ゲーム好き名無しさん
ググント「だったら、私も死んじゃえ!」
アトル「姫さま!何処へ行かれるのか!姫さまっ!」
―――危険な、目だった。
アトルの直感が告げていた。長く仕えてきた彼だからこそ、己が主君の危うさが分かる。
―――演技、だったのか。
病が幾分落ち着き、立ち居振る舞いもまた矍鑠したものに戻りつつあった。
だから…安心していたのだ。
迂闊。
アトル「ググントさまーっ!」

予想だにしなかった事態。その衝撃が一瞬、アトルの歩みを止めていた。
気がつけばググントは視界から消えていた。
(莫迦、何年あの方の傍にいた、盆暗がッ)
チッと舌打ちをして後を追う。だがすぐに遮られた。
人影。一瞬、黒い壁と見紛うたマントの下から、ぞくり、と鋭気が放射される。
アトルは正気を失った。
―――何故、生きてる!?
彼にとって、幾度もの悪夢の主演をつとめた男が、その罪と共に火口へ消えた狩人が――

オジリ「痩せたか?夜天の御者」
アトル「糞でも喰らえオジリッ!!」

アトルは大喝した。


(はぁっ、はぁっ、はぁっ――)
今や世界の全てがググントの敵だった。
幼い肢体に不釣合いなドレスの、裾を擦る間もあらばこそ。
気がつけば布地を裂いていた。じゃまっけな靴も脱げている。
それでも、からみつく。病んだ身体に外気は重い。
耐えられない。
私を、そうまでして消したいのか。
炎に抱かれた街、ゲイツォ草、自警団の男たちの笑顔、いばらの門――
それは思い出。今や死を待つ少女にとってのすべて。
悪くない。
この輪舞の中で死ねるなら――

プンギ・プンギ「では僭越ながら、この私めが手引きをば」
ググント「―――!」

忘れもしないその顔。フードの奥で「彼女」の単眼がぎらり、と閃く。

プンギ・プンギ「でも残念、今日は挨拶だけ。もっともオジリの方は知らないけど」
ググント「…新月の夜に“夜天”を敵に回す愚、貴方ならご存知かと思ったけど」

虚勢だった。何故なら、今のアトルは――
思考は断絶された。プンギ・プンギが迫る。示威の為の連撃。
(こいつァ、乱暴だ)