950 :
弟:
ごめん、ドラマCDの方に意識行っててねーちゃんに読ましてもらったのに報告忘れてたw
「ゲームクリエイターに必要な事は全て映画から学んできた」scene01
今回から趣向も新たに、私、今井秋芳がゲームクリエイターとして、いままで何を観て、何を学んできたのかを紹介したいと思う。
その指針となるのは、古今東西新旧入り混じった映画の数々。幼いころから映画好きで、
今の自分があるのは映画があったからだと言っても過言ではない。これからゲームクリエイターを目指す人もそうでない人も、
ぜひ紹介する映画を観てほしい。きっと、そこから何かを学べるはずである。
第一回「転校生」(発売元バップ)
山中恒原作の『おれがあいつであいつがおれで』を大林宣彦監督が映画化したジュヴナイルの傑作。
俗にいわれる尾道三部作の記念すべき第一作でもある。主演の尾美としのりと小林聡美。
尾道の中学校に転校してきた斉藤一美(小林聡美)。幼馴染の斉藤一夫(尾美としのり)と再会するも、
ふとしたきっかけで身体の中身が入れ替わってしまう。突然、女っぽくなった一夫と男っぽくなった一美にとまどう周囲をよそに、
一夫と一美は次第に心を通わせ、大切なものが何かを学んでいくのだった。
冒頭のモノクロ8ミリフィルムで映し出された尾道の美しい風景に表されるように、本作はノスタルジックな雰囲気に満ちている。
それは、忘れてしまった青春の日々であったり、思春期の心や身体の変化だったり――誰もの胸の奥底にしまわれた想いを
やさしく引き出してくれる。身体が入れ替わった二人の中学生の葛藤を時にコミカルに時に情感豊かに演じた尾美としのりと
小林聡美の演技もみごとのひと言。なよなよした女々しい一夫と活発で文字通り男勝りな一美の姿は、
本当に中身が入れ替わってしまったかのような錯覚さえ覚えさせられる。悩む二人と共に、
やがて物語はほろ苦く切ないラストシーンへと観る者を連れていく。
そこに広がる光景は、美しくも心を焦がす青春の残照なのかもしれない。
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