「黄昏のオード」(PSソフト)は洗練された斬新なシステムが魅力のRPG
神の楽譜を完成させるべく7つの島を巡り、
最後には神々の戦いへと身を投じる壮大なストーリーのシンフォニックRPG。
このゲームの目玉となるのは
魔法詠唱ボイスを自分で決められるという歌魔法システムである。
ボイスは、オペラを参考にした本格的なものであり、非常に迫力のある歌声である。
その他のシステムもなかなか素晴らしい出来。
ダメージ計算式は「攻撃力-防御力」と「防御無視」の二種類に
4つの属性を考慮しただけと言う非常に単純明快なシステム。
おそらく、できるだけダメージ計算を簡単にする事により
ダメージの推測を容易にし、戦略的な部分を強化するためであろう。
また戦闘システムで特徴的といえば防御コマンドを選んでもダメージが減らないという点も挙げられる。
元々アグレッシヴなコンセプトのもとに制作されたこのゲームには防御という概念は必要ないのだ。
であるにも関わらず、防御コマンドは用意されている。
これには、実際の戦闘では防御を続けていても勝てないという意味がこめられているのであろう。
我々が最終的に行く必要の無いような政治犯収容所に踏み込み悪い囚人に襲われた場合は、
オードを思い出して勇気をもって戦っていきたいものだ。
戦闘に欠かせない要素である仲間にも、スタッフの想いが込められている。
このゲームにはギルドというシステムがあり、好きなキャラクターを雇う事が出来る。
シナリオ上でも幾多の仲間と感動的に出会い、涙ながらに別れる(これは感動だ)。
この仲間たち、プレイヤーが指示することはできるのだが
ピンチになるとそれがボス戦であろうがほとんどの仲間は選んだコマンドに関係なく逃げてしまう。
にわかの仲間では、命を預け合う事等到底できないと教えてくれるゲームである。
このような魅力ある戦闘システムを体験するにはまずエンカウントが必要だが、
エンカウント率の設定にもスタッフの並々ならぬ工夫が感じられる。
ある場所では非常にエンカウント率が高いが、ある場所では逆に非常に低いなど、
マップによる思いがけない変化はプレイヤーを飽きさせない。
黄昏のオードの美点を挙げればきりがない。
システム面ですら人間というテーマをひしひしと感じられるのだから、
シナリオの素晴らしさなど言わずもがなである。
知名度は決して高いとは言えないが、
リプレイ、攻略を掲載したサイトが数多く存在するのは
隠れた名ゲームの証ではないだろうか。