セアカゴケグモ急増 大阪府は過去最高 異常気象影響か
10月18日10時54分配信 産経新聞
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071018-00000916-san-soci 強い毒性をもつセアカゴケグモにかまれる被害が広がる気配を見せている。
大阪府内では今年に入って6件6人の被害報告があり、過去最高の昨年と並んだ。
夏季に活動するとされるが、今年は気温が高いことから、10月になっても被害が続いているのが特徴で、
これまで報告がなかった府県で被害が出る恐れがあるという。
専門家も生息の拡大を指摘しており、近畿の自治体では一般市民対象の研修会を開くなどの対策を始めた。
セアカゴケグモは国内では平成7年11月、大阪府高石市の工場敷地で初めて確認され、兵庫や和歌山、
奈良など近畿地方を中心に広がり、愛知や群馬などでも確認されるようになった。
特に最初に見つかった大阪府では、府北部の一部地域を除いて全域で見つかっているという。
こうした分布の広がりとともに被害も増加。府に寄せられた被害報告は9年から17年まで計5件5人だったが、
昨年は過去最高の6件6人。今年はすでに昨年と並び、最多記録を更新する可能性が出てきた。
もともと熱帯などに住むため、例年、被害が報告されるのは9月までだったが、今年は今月14日に同府熊取町の
主婦(40)が自宅の庭の手入れをしていたところ、左手の指をかまれ、10月になっても被害報告が寄せられた。
府環境衛生課の担当者は猛暑の影響で秋になっても気温が下がらない異常気象を指摘、「秋が深まるにつれ、
活動は鈍ってくるはずが、今年は続く可能性がある」とみている。
各府県でも新たな対策を求められており、府は昨年から開催している学校関係者のための研修会を自治会にも
広げて開催場所についても3カ所から約50カ所に増やし、
「素手でさわらない」「かまれたら病院に連絡する」
など注意事項の周知徹底を図っている。生態や被害時の対処方法などを記載した大型のパネルも製作し、
府内の保健所14カ所で掲示も始めた。
また、被害報告は出ていないものの、兵庫県では、生息が確認された地域に地元自治体を通じて啓発チラシを配布。
和歌山県では県内各地に広報車を走らせ、注意を呼びかけている。
専門家の1人は「セアカゴケグモの分布は間違いなく広がっている。かまれた場合、死に至ることもあり、あなどってはいけない。
危険を回避するため、セアカゴケグモの生態や対処方法をよく知っておく必要がある」としている。
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セアカゴケグモ オーストラリアや東南アジアなどの熱帯、亜熱帯に生息。船の貨物などとともに日本に入ってきたとみられる。
オスは体長約3ミリ、メスは体長約15ミリ。メスは背面に赤またはオレンジ色の帯状の模様がある。
毒は神経毒で、かまれた部分が腫れ、痛みが次第に広がる。1匹当たりの毒量が少ないため、数日で治ることが多いが、
呼吸困難など全身症状が現れることがあり、海外では死亡例もある