ハンガリー語ってどうよ?

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54しい坊
>53 :名無しさん

>>4 の早稲田さんの
> 新しい入門書についても一言お願いします。

すみませんねぇ。なぜか、まだその本は入手してないのです。学生が持って
いるのを見せてもらって、ぱらぱらと目を通しただけです。(自分自身が、
あまりハンガリー語の入門書を必要としてないもので (^.^;)ゞ。)

何はともあれ、日本で日本語でハンガリー語を独習しようと思ったら、他に
はあまり選択肢はありませんね。あとは彼女の『エクスプレス・ハンガリー
語』と岩崎 悦子さんの『ハンガリー語I・II』ですね。それから今岡 十一
郎さんの『ハンガリー語四週間』です。

日本におけるハンガリー紹介の先駆者であられる今岡さんの『ハンガリー語
四週間』は歴史的な価値のある本です。手に入る人は、終戦前後に出た最初
の版を手に入れられることをお勧めします。文化史的な価値があります。す
でにハンガリー語ができるようになった人には、色々な意味で非常に楽しい
本ですが、初心者にはお勧めできません。記述が非常に不正確だからです。
(彼が日本のハンガリー研究の先駆者ですから、記述の不正確な点をあげつ
らっては不公平でしょう。)ただし、動詞の半過去形 (fe'lmu'lt ido"。
elbesze'lo" mu'lt とも言う) の活用表が(過去形となっていますが)掲載
されているのは貴重です。なぜならハンガリーでも文法書ではかつては半過
去形が存在したという言及はあるものの、実際の活用表はなかなか目にする
ことができないからです。公式には現代ハンガリー語にはもはや存在しない
ことになっていますが、実際にはハンガリー文学を読む時には必要ですし、
ハンガリー語方言では今でも生きた活用形です。

早稲田さんと岩崎さんの入門書は、どちらも今岡さんの本のような勘違いや
間違いが少ないという点で、信頼できると思います。どちらを選ぶかは、学
習者の性格によるのではないでしょうか。(相性の問題ですね。)ただしお
2人ともハンガリー語は英語から入られていますから、例えば「〜e'k」を
「〜達」ではなく「〜一家」のように解釈したり(英語でそう説明されるた
め)、独立した品詞で副詞の一種である接動詞 (igeko:ko") を「動詞接頭
辞」(英語には該当する概念がないので、しかたなく Verbal prefix と訳さ
れているため)と訳されている点などでは個人的には異論がないわけではあ
りませんが、それはそれぞれの研究者の解釈と信念の問題ですから、別に大
きな問題ではないでしょう。(最大の異論は今岡さんも、早稲田さんも、岩
崎さんもハンガリー語のeの2つの音価、すなわち「e」[ε] と「e:」[e]
の違いをきちんと表記されていないことです。ハンガリー語では正書法上は
同じeと書いても、音韻論的にこの2つは区別する必要があり、この2つを
区別することでハンガリー語の文法が非常に明快になります。この区別を知
らないでハンガリー語をある程度覚えてしまった後で、「実はハンガリー語
には...」などと説明されても、もはやその2つの区別を修得することは不可
能になってしまいます。だから、最初からこれはきちんと教えるべきだと考
えています。しかし、万が一その2つが区別できずとも、ブダペストの住民
は区別できませんから、そんなに悲劇ではありません。ならば一応教えてお
きましょうよ。)お二方とも真面目な方ですから、入門書としてはそれ程問
題はないと思います。もっとも僕自身がそれらを使ってハンガリー語を学ぶ
わけではありませんから、本当に責任ある回答はできませんが。その点はご
了解ください。(実際にハンガリー語を学習されている方で、ハンガリー語
の文法等に関してご質問がある方は、「ハンガリー語Q&A」掲示板の方で
<http://bbs212.goo.ne.jp/cgi/bbs?u=sibo&p=g6200> ご質問ください。)