ロシア語19

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973何語で名無しますか?
>>971
「太陽」はスロバキア語で slnko という。こちらでは [səlnko]のように
[l]は明瞭に響く。スロバキア語ではこの語は sln-ko と二音節語で、
スロバキア語では子音に挟まれた[l]は母音の働きをし、いわゆるソナント
(sonant; 成節的子音)として母音と同じ機能を持つことができる。
実際には [əl]のように曖昧母音(schwa)を伴って発音される。
ロシア語にはこのような曖昧母音は存在しえず、完全母音化して [o] となる。
(つまり *сълнце > солнце)
もともとロシア語では[l]はソナントとして母音的に機能することは出来ないため、
ロシア人には -lnts- (-лнц-)という子音接続(cluster)は容易に発音できない。
だから三連続子音の最初の子音を脱落させて発音することになったもの。
このように子音に挟まれた[l]が完全にソナントになれるのは、全ての現代スラブ語で
スロバキア語だけ。チェコ語も vlk (= волк) みたいにソナント扱いできない訳ではないが、
「太陽」は slunce (<*slnce) のごとく、発音しやすくするために -u- を
便宜的に挿入する。(一種の音便現象)
因みに子音間の[r]ならソナントとして扱える言語はセルビア語・クロアチア語・
スロベニア語と広がっていく。
このようなソナントはロシア語には一切存在しない。(ロシア語だけじゃなく、東スラブ語全部)
ロシア語は綴りの面でまだ保守的だから солнце と綴るが、ウクライナ語・
ベラルーシ語とももう発音の通りに、それぞれ сонце/сонца の
ようにлを抜かして綴る。

よってロシア語でもлは発音されない。(古代東スラブ[ルーシ]人は発音できなかった)