=北ゲルマン諸語総合スレ=

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ちょっと過疎ってたから、ゲルマン語本業じゃないのにこのスレ突いて活性化
させてあげたつもりだが、また過疎ってきたな。
それがこのスレの運命みたいだから、最後に上の設問の答え書いといてやるよ:

印欧語学者なら、サンスクリット sunus やリトアニア語 sunus (いずれも
同義)の最初の u が長いことに鑑み、ゴート語のそれも長いと考えたく
なるが、そんな根拠のない考え方は単なる推測で、緻密な思考の要求される
科学としての言語学には邪道。
ゴート語 dubo - スウェーデン語 duva - ドイツ語 Taub「鳩」
     hus hus   Haus「家」
に対して
     sunus son Sohn 「息子」
じゃ、ゴート語では同じ u でも明らかにスウェーデン語やドイツ語に
おける扱いが違うだろ。現に、古い長音の u: はドイツ語では二重母音化して
au になるという音韻法則もある。
一方で北欧語やドイツ語では、短い u は o やその他の母音に変化して音色
が変わる。
フィンランド語のゲルマン語借用語に「王」を意味する kuningas なる語が
あるが、フィン語は母音の長短をきちんと区別できる言語なので、ここでも
u は短いと断言できる。そして予想通りにス語 koning, 独語 Koenig の
如く、それは o ないしその変音(ウムラウト)で現れる。今ではこの o は
長音だが、それは開音節で二次的に長音化しただけで、本来の母音の長短を
示すものではない。
このように、血縁関係にある他の言語との厳密な比較による史的研究で
多くのことが分かる。こういった手法こそが、本当の言語学であり、
個々の言語には堪能でも、この程度の対応にさえ気づかないようでは比較
言語学者の名には値しない。