関口存男について

このエントリーをはてなブックマークに追加
228くそ勉強(10)

 要するに、乗ずるべき隙はここにあります!世間は、筋肉労
働というやつに対してはとてもせちがらくて、5に対しては5、
6に対しては6を酬いるきりです。うっかりすると6に対して
5で酬いようとすらします。ところが、精神労働に対しては基
準も何もない。凡庸だと見るとハナもひっかけないが、凡庸を
少し抜いていると見るとモウすっかり天才扱いにする。数学的
に表現すると、たとえば65点か66点ぐらいのところまでは
0点と同じ扱いをするが、70点となると、もう80点90点100
点と殆ど同じに見るのです。つまり入学試験と同じことです。
だから、たとえば技術者か学者になったとすると、69点の頭の
男は落第で一家心中、それより1点上の70点の男が斯界の権
威として威張れる……ということが生じるわけです。すると、そ
の1点か2点の差をどうして稼ぐか、ということが差し迫った
大問題になってきますが、これが私の此の記事の中心眼目なん
ですから、まあ焦らずにゆっくり話を聞いて下さい。