関口存男について

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217くそ勉強(2)
 エート、文章が暴走しちゃって、どういう副文章で書き起し
たのか思い出せなくなっちゃったが、とにかくマア、そういう
型の人間があるということを云おうとしたのです。称してクソ
勉強と云います。あんまり体裁の好い型じゃありません。どっ
ちかと云うと滑稽な型です。滑稽と云っても、落語の種になる
ような滑稽ではなくて、「苦笑」という型の滑稽ですな。つま
り、おヘソが宿換えしたり、お腹の皮がよじれたりはしない。む
しろ「顔がゆがむ」と云った方が好いかも知れない。顔はたし
かにゆがみます。普通よく「顔まけ」ということを云いますが
これも或いは此の型の滑稽に面した場合の苦しい微妙なおかし
さのことを云うのでしょうか?顔にも勝ち負けがあるというこ
とには今はじめて気がついたが、なるほどそう云えば人間社会
という所は、何処へ行っても、顔と顔とが張り合ってむしろ顔
ばかりあってそのうしろにはなんにもないことすらあります。
あると反っていけないらしい。とにかく、つぶれるのも顔、立
てなくちゃならんのも顔、広いのも顔、売るのも顔、かかわる
のも顔であってみれば、「負ける」ということは実際考えられま
すね。甘い気持ちで相手を見くびっていると、実際がこっちの思
ったような月並みな相手なら好いが、勝とうと思ってわざわざ内
緒で準備したり訓練したりして来た相手であった場合は忽ち負