http://a1hs.blog69.fc2.com/blog-entry-11.html 第1話
働いている男性達がロールパン1個と牛乳1瓶だけで
空腹をわずかばかり紛らわせている頃
女性達はホテルのレストランで豪華なランチを楽しんでいた
レストランでは各自様々華やかなファッションに身を包んだ女性達が
賑やかに歓談する声が響き渡り
厨房とテーブル、レジカウンターを忙しく奔走するウェイターの姿が対照的だった
「責任者を呼んで!」
そんな中、一人の女性が高らかに声を上げた
声を上げた女性は左手に、まだ少し残ったコーヒーが淵よりしたたる空のコーヒーカップを持ち
女性の横には、元々は女性が持っているコーヒーカップを満たしていただろうコーヒーを顔から滴らせ
制服もコーヒーで所々茶色く湿らせたウェイターが立っていた
やがてスタッフルームからレストランの店長であろう
スーツ姿の男性が駆けつけてきた
「お客様、何かご不満な点でもございましたでしょうか?」
店長は頭を下げながら恐る恐る問う
「あのさぁアタシ、ランチを楽しみに来てるのよね」
テーブルに肘を付き、軽く握った手で頬杖しながら女性は話しだした
「はい、ごもっともでございます」
「散々待たされて、やっと来たかと思ったら・・・」
女性はここで言葉を一度止め、コーヒーを浴びたウェイターに冷ややかな、侮蔑の眼差しを向ける
「なにこのウェイターの顔!キモイったらありゃしない!せっかくのいい気分が台無しだわ!」
バン!とテーブルを両手で叩き、すぐさまウェイターの顔を指差した
テーブルを叩いた音で一瞬、レストラン中の歓談が消え、女性とウェイターに注目が集まる
やがてヒソヒソという話し声と、かすかな嘲笑がレストランを支配する
「不愉快だわ・・・」