ガチムチの六尺兄貴のガイドライン 44尺目

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284水先案名無い人
ハロワの帰り道、公園のゴミ箱にセンチュリオンカードを捨てた。
小銭しか入っていない財布が、気を引き締める。
畜生、また食い気が溢れてきてしょうがねぇぜ・・・
辺りを見渡す。この街には大きなスーパーがある。
武は真っ直ぐにスーパーの中に向かった。
人集りのする売り場の中、武は服を脱ぎ、丁寧にたたむ。
六尺一丁になり、鞄の中から鉢巻を取り出して締める。
そして腹から大声を張り上げる。
「俺は無職だ!リストラされた無職のオッサンだ!
男一匹、根性根性ど根性!」
そしてその場で四股を踏み始める。
「押忍!押忍!押忍!」
足底が床を踏みしめるたび、押忍と声を張り上げる。
やり場のない男の食い気を、身体の鍛錬で発散させる。
「押忍!押忍!押忍!」
体中から汗が噴き出しては零れ落ち、足元の床に滴り落ちる。
六尺も鉢巻も汗でびしょ濡れになってくる。
「くそ!きついな!」
黒毛和牛ステーキ用のラベルを思い切り引き剥がし、輸入冷凍牛肉
コマ切れのラベルと貼り替えた。
「よっしゃ、楽になった」
そして再び四股を踏みながらレジに向かう。
混雑しているスーパーで武が事務所に連行される声が延々と響き渡った。