8 :
水先案名無い人:
膨れた顔に短い手足。頭の白いキャップ。同色の寝間着のような服。
「う〜♪ うぅ♪ う〜♪」
レミリア種のゆっくり。しかも胴体付きだ。
なんて珍しい。今まで多くのゆっくりを見てきたが、手足があるのは初めて見た。
近づいていくと、そのゆっくりはこちらを見上げてくる。
「どこから入ってきたの?」
「うー、ざくやー、ぷでぃんもっできでー、ぶでぃんー」
あらあら。会うなり人間違いをして、その上おやつを要求するなんて。
頭を撫でながら、尋ねる。
「あなた、どこの家の子? 森から来たの?」
「うー、れびりゃのおうぢはここだどー」
鼻にかかったようなダミ声で、人様の家を所有宣言。
ああ、何て、かわいいんだろう。
「ぞでよりぷでぃん、ぷでぃ〜ん!」
「欲しいの? プリン」
興奮を内に秘めて、荒くなる呼吸を抑えて、にこやかに問いかける。
「はやぐー! もっでごないと、たべじゃうどー」
「じゃあ、たくさん食べてね」
私は少し身体を離すと、思いっきりゆっくりの腹を蹴りこんだ。