ゆっくりしていってね!!!のガイドライン ★79

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20水先案名無い人
「うふふふふ」
 ついに全体重が乗ってしまった。それでもちぎれることはない。ある程度の反動をつけて踏み直してみても、激痛にほとばしる声が高くなるばかりで裂け目一つできない。
「そろそろあなたの中身が見たくなってきたわ。ね、見せて。ね? ね!」
 今度は足を上げて、思いっきり勢いをつけて踏みつけてみる。何度も何度も踏みつけてみる。騒音としか聞こえない濁音混じりの絶叫が相変わらず耳に心地よかったが、腕の損傷につながらないのも相変わらずだった。
 私は次第に自分の思い通りにならないことに腹が立ってきた。一方でそれがまた嬉しさをかき立てる。苛立ちは最高のスパイスだからだ。
もう一度腹に一撃を見舞った後、私は台所から目当ての物を持ち出してきた。これなら。
「じゃ、改めまして」
 ゆっくりを仰向けにして、今度は右腕をつかむ。私が振り上げた包丁に目を丸くしてるけど、何を意味してるのかわかっているのかしら。
 私は笑ったまま、思いっきり力を込めて一撃を振り下ろした。
「ぎひう゛ぉギょをぉおごぉおおぉおおぉおおおッ!!」
 声帯を無視したような叫びと共に、赤い汁が散った。
 中身が何か辛い物でできているゆっくりがいると聞いたことがあるけれど、これがそうなのだろうか。綺麗な色。興奮するわ。
「もっと、もっと見せてね。ふふ、うふふ、あははははっはははっ!」
 楽しさを爆発させ、感情に行動を任せる。何度となく、包丁を叩きつけるように切り込んでいく。だが、切り傷が数を増やすのみでなかなか切断できない。切断したいのに。切断したいのに! 早く切断しなさい!
「これでどうっ? これでッ! ほらっ! ほらッ!!」
 一番深いくぼみができたところに、逆手で持った包丁の先端を何度も打ち込む。狙い通り、裂け目が大きくなってきた。いいわね、いいわ!
「すごいわね、ほら、取れちゃうわよ、取れちゃうわ、ほら、ほらっ、ねッ!」
 そして、ブツンという手応えと共に、ついに腕は根本から切断された。突き抜けるような快感が私の身体の中心を走る。
「ああ、取れちゃった! あははは! 中身は…ふふ、やっぱり肉まんかな? 辛そうだけどね、アハハ、アハハハハハハ!」