臨場感を凌駕(ryのガイドライン 子育て2人目

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254水先案名無い人
86 名前:水先案名無い人[sage] 投稿日:2008/01/08(火) 01:33:12 ID:DxtiHmam0
あれ以来娘が暗かったのは、決して気の所為などではない。結婚適齢期の不安定さとの相乗効果で、
娘は日々、己の運命を噛み締めては、失望し、憎み、疎んでいたのだ。今日もそうしていただろうし、明日も、明後日も、変わる事無くそうするだろう。
マイナス感情は娘の中に鬱積し、軈て其れは一つの決定的な願望を生み出す。
 「産む機械の、主婦の使命を放棄し度い」
其の運命の拒絶。然し娘は其れを実現する事は出来ない。私の教育に依って、主婦で在る事以外の
自己認識や自己実現の方法を持っていないからだ。其の運命を棄てる事は、大海原の最中にて磁石を捨て、
船のマストを八つ裂きにする事に等しい。故に其の願望は許されざる物、実現はおろか抱く事も在ってはならない禁忌。
だから彼女はエルを使った。その禁忌の拒絶願望を全てエルに押し付ける事で、自分は主婦として潔癖、
悪いのは、汚らわしいのはエルだと言い張ったのだ。そしてエル“R”という名が与えられる。
“Refuse”の頭文字。意味は“拒絶”。それこそがエルの存在意義。“拒絶因子”―リフューズ―。
彼女の、拒絶願望、厭世感、絶望等、数多のマイナス感情の集積場。彼女が嫁で在る為の汚れ役―ヒール―。
リフューズ・マリッジ。
然し時が過ぎて、其の関係に変化が訪れる。当初両者の力関係は、娘が上位にして主人格、エルが下位の従属人格で在ったのだが、
娘のマイナス感情を溜め込み力を付けたエルは、自分が主人格に成る事を望み、娘との葛藤を開始したのだ。
まあ無理も無い事だろう。エルこそが彼女の本心なのだから。本心が主体と成る事は、極自然な事で在る。
葛藤は今も続いているが、私とて傍観者ではない。若しこれでエルが主導権を握ろうものならば、
私の計画は全て台無し、挙げ句女だてらに社会進出する事態に成るのだから。
だが然し、ゲームとして此れ程に面白い物は無い。何故ならばエルは娘に勝てないからだ。
エルに突き崩される程私の教育は抜かってはいないし、娘とてそれは同じ事。
エルを作り出して迄居座ろうとしたその場所を、如何してエルに空け渡す事が在ろうか。ならば私は楽しませてもらおう。
御前達が如何様な道を歩き、如何様な結末を迎えるのか。