「諸君 私は〜が好きだ」を貼って <24>

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821水先案名無い人
「もっとも恐るべき人間とは何か わかるかね、魔王」
「………勇者」
「そうだその通りだよ 我らが宿敵勇者だよ、魔王
 ではなぜ勇者はそれほどまでに恐ろしい?
 勇者は弱点だらけだ
 毒を嫌い やけつくいきを嫌い バリアや毒の沼地は身を焼く
 川・海・湖畔・峻険な山岳を渡れず 暗闇に目をそむけ 呪いに耳をそむけ
 ほとんどの勇者は陸地しか動けず 安息のねぐらは唯一ツ有料の小さな宿屋だけ
 それでも勇者は人類の救世主(主人公)と呼ばれる
 魔王 何故だかわかるかな」
「…………戦士の力と魔法使いの攻撃呪文と僧侶の回復呪文を操る事?」
「それは決定的ではない」
「HPが0にならないと戦闘不能にならない事?」
「少々役不足だ 倒す法(ロウ)はそれに限らん」
「レベルを上げて いくらでも能力値と技を増やす?」
「それは確かに恐るべきことだ だが無敵か とは少し違う
 もっともっともっともっと単純なことだ」
「…………勇気がある?」
「そうだ 勇者はとっても勇敢なのだよ 魔王
 HP 攻撃力 MP 専用装備 ギガスラッシュ
 瞑想 復活能力 精霊ルビスの加護 ベホマズン etc(エトセトラ) etc(エトセトラ)
 しかし最も恐るべきはその純粋な精神力………『勇気』だ
 人間達に勇敢に立ち向かう勇気を与える
 そしてたちの悪いことに勇者はその力を自覚している
 単一能としてでなく 彼の魅力(カリスマ)を持って勇気を行使する『救世主』だ
 勇者の活躍は奇跡を意味する
 いいかね魔王 勇者とは導かれし
 奇跡を起こす『主人公』なのだ これを最悪といわず何をいうのか」