魔王のガイドライン6

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390水先案名無い人
 こんな夜更けに、闇と風の中に宙を飛ぶのは誰だろう。
 それは空と火嶽だ。火嶽はおびえる空にひしと抱きかかえられている。

火嶽  「おい空、なして顔を隠すんや。」
空   「火嶽には葉子さんが見えないの。緑の長い髪で、巫女装束を着ている・・・」
火嶽  「あれはたなびく霧や・・・」
葉子 「かわいい空ちゃん、一緒においで。面白い修行をしましょう。岸辺にはきれいな花が咲いているし、替えの服を私の旦那がたくさん用意して待っているわよ。」
空  「火嶽、火嶽!きこえないの。葉子さんが私になにかいうよ。」
火嶽 「落ち着け空、枯葉が風にざわめいとるだけや。」
葉子 「いい子ね、私と一緒に行こう。私の娘たちがもてなすよ。空ちゃんをここちよくゆすぶり、踊り、歌うのよ。」
空 「火嶽、火嶽!見えないの、あの暗いところに葉子さんの娘が!」
火嶽「見えとるで。そやけど、あれは古いしだれ柳の幹や。」
葉子「愛しているよ、空ちゃん。空ちゃんの美しい姿がたまらない。力づくでもつれてゆくわよ!」
空 「火嶽、火嶽!葉子さんが私をつかまえる!葉子さんが私をひどい目にあわせる!」

 火嶽はぎょっとして、空を全力で飛ばせた。あえぐ空に抱えられ、やっとの思いで家に着いた・・・
 ・・・が茜にもっと修行しろと追い返されて空は滝壺に落とされていた。
391水先案名無い人:2008/01/19(土) 23:21:05 ID:JlNISsw70
子 「お父さん、お父さん!見えないの、同じ顔した魔王の娘たちが!」
父 「見えるよ。だが、あれはただの判子絵だよ。」