「ギャ!グッワ!待ってくれ!待ってくれ!」
誠は、叫んだ。
「許してくれよ!入れたかっただけなんだから」
「ザシュ!グシュ!」
世界はかまわず刺し続ける。
「ヒッー!助けてー!助けてー!」
誠が悲鳴に近い叫び声をあげた。
「ひどいよ!」
世界が叫びながら刺し続ける。
「せ・・・か・・・い・・・」
誠の血があたりに飛び散った。世界の包丁も血で染まっている。
「自分だけ・・・桂さんと幸せになろうなんて!」
世界の形相は、もうフツウではなかった。誠の遺体を見た、言葉も言葉を失ってしまっていた。
思わず言葉が言った。
「誠君ならそこにいますよ。聞いてみたらどうですか?」
「ザシュ!ブシュ!」
世界には、まったく聞こえていない。世界も失血死したのか動かなくなった。
「西園寺さんが言ってること、本当かどうか確かめさせて下さい」
言葉が叫んだ。
「中には誰もいませんよ?」
言葉が上から世界を覗き込んだ。