帰宅しようと思い、とどまる。
今日から俺はSOS団の一員だ。
家に直帰なんてもうしてちゃいけねぇやな。
これからは常に文芸部室に通いこむか!
向かう途中、中庭のゴミ箱にハードカバーの本を捨てた。
隣町に現れる閉鎖空間が、気を引き締める。
畜生、また不思議が溢れてしょうがねぇぜ・・・
辺りを見渡す。この高校には広い森がある。
キョンは真っ直ぐに森の中に向かった。
人気のない森の中、キョンは服を脱ぎ、丁寧にたたむ。
六尺一丁になり、鞄の中から腕章を取り出して締める。
そして腹から大声を張り上げる。
「俺はジョン・スミスだ!世界を大いに盛り上げるジョン・スミスだ!
ジョン・スミス一匹、神人神人ど神人!」
そしてその場で四股を踏み始める。
「宇宙人!未来人!超能力者!」
足底が土を踏みしめるたび、声を張り上げる。
やり場のない団長へのツッコミを、身体の鍛錬で発散させる。
「禁則事項!既定事項!情報思念体!」
体中から汗が噴き出しては零れ落ち、足元の土の色を変えていく。
六尺も腕章も汗でびしょ濡れになってくる。
「くそ!きついな」
隆起し過ぎ、鞄を突き破らんばかりのシャミセンを見て言う。
そして、鞄から妹とシャミセンを引っ張り出した。
「よっしゃ、楽になった」
そして再び四股を踏み始める。
誰もいない森に、キョンが地面を踏む音と超常現象の叫び声が延々と響き渡った。