諸君 私は芋が好きだ
諸君 私はお芋が好きだ
諸君 私はおいもが大好きだ
さつまいもが好きだ タロイモが好きだ じゃがいもが好きだ やまいもが好きだ
焼き芋が好きだ 煮っ転がしが好きだ スープが好きだ 大学芋が好きだ コロッケが好きだ
平原で 街道で 校庭で 裏庭で 凍土で 砂漠で 海上で 空中で 泥中で 湿原で
この地上で行われる ありとあらゆるお芋料理が大好きだ
戦列をならべた 園児の引っ張り合いが 轟音と共に芋のつるを 吹き飛ばすのが好きだ
空中高く放り上げられたお芋が 母の包丁でばらばらになった時など 心がおどる
飢えた学生の操る 落ち葉の山が お芋を美味しく焼き上げるのが好きだ
悲鳴を上げて 燃えさかる鍋から 焦げ付いた煮っ転がしを 菜箸で掬い上げた時など 胸がすくような気持ちだった
包丁先をそろえた 飢えた子供の横隊が 芋の戦列を 洗い上げるのが好きだ
恐慌状態の女の子が 既に息絶えた芋虫に 何枚も何枚も見えないように葉っぱを重ねている様など 感動すら覚える
田舎のおばあちゃんが 薄切りにしたさつまいも達を軒の下に 吊るし上げていく様などはもうたまらない
蒸されたお芋達が 私の振り下ろした手の平とともに 金切り声を上げる弟にぐちゃぐちゃと潰されてれるのも最高だ
哀れな害虫達が 雑多な触手で 健気にも立ち上がってきたのを 悲鳴を堪えた妹に摘み上げられ
庭の片隅にそっと置かれた時など 絶頂すら覚える
猪の親子連れに 滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだった芋畑が蹂躙され 種芋まで強奪されていく様は とてもとても悲しいものだ
小麦製品の物量に押し潰されて 殲滅されるのが好きだ
アレルギーに追いまわされ ヒステリーの様に製品表示を見比べるのは 屈辱の極みだ
諸君 私はお芋を 地獄の様なお芋料理を望んでいる
諸君 私に付き従う大隊戦友諸君 君達は一体 何を望んでいる?
更なるお芋を望むか? 情け容赦のない 糞の様なお芋を望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし 三千世界の鴉を殺す 嵐の様なお芋を望むか?
お芋!! お芋!! お芋!!
よろしい ならばお芋だ
我々は満身の力をこめて 今まさに振り下ろさんとする握り拳だ
だが この爽やかな気候の下 半年もの間 堪え続けて来た我々に ただのお芋ではもはや足りない!!
お芋畑を!! 一心不乱の大お芋畑を!!
我らはわずかに一世帯 十人に満たぬ敗残兵に過ぎない
だが諸君は 一騎当千の料理人だと 私は信仰している
ならば我らは諸君と私で 総兵力100万と1人の百姓集団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで 引きずり下ろし 眼を開けさせ 思い出させよう
連中にお芋の味を 思い出させてやる
連中に我々の 芋掘りの音を思い出させてやる
天と地とのはざまには 奴らの哲学では思いもよらぬ事がある事を思い出させてやる
一千人のはらぺこどもで 世界を燃やし尽くしてやる
全フラッペン発動開始 旗艦デクス・ウキス・マキーネ始動
離床!! 全ばけつ 全牽引線 解除
「最後の大隊 大隊指揮官より 全ご家庭へ」
目標 日本本土 農耕可能地!!
第二次ゼーレヴェー作戦 状況を開始せよ
征くぞ 諸君