新聞入試問題のガイドライン(雑誌可)

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33問題
 黄金の穂波を横目に、浅間山麓(さんろく)から諏訪湖まで信州路をたどって、実りの秋を体感
してきたが、九月の稲の作況指数は全国平均で97、長野県を含む関東も96で不作の年である。
 長梅雨による日照不足と台風被害がたたったためだ。やはり、集中豪雨と台風被害が重なった
2004年以来、2年ぶりに平年を下回った。この年はさらに新潟県中越地震まで起き、銘柄米コシ
ヒカリの産地を直撃している。
 23日で震災から丸2年になるが、被害が大きかった旧山古志村(現長岡市)では、崩壊した棚田
の復旧も遅々として進まない。田んぼの形は元に戻っても水路整備が伴わず、耕作放棄されてい
た田んぼはスコップを入れてもはね返すほどカチカチに固まっている。
 松本健一さんは近著『泥の文明』(新潮選書)の中で、田んぼの土を“べと”と表現する山古志村
の老女の「べとに触ってねばの、生きてても命半分だ」という米作り農家のため息を紹介しつつ、
日本社会の根底になお「田づくり」を中心として根を張る「泥の文明」に思いを致す。
 棚田の整然とした光景を「半導体のようだ」と評した電機技術者が、「棚田の泥は水もちが良くて
水はけがよい」と聞いて「ますます半導体だ」と感心したという。
 松本さんは米づくりから、ものづくりへと展開した泥の文明に潜む「共生(シンバイオシス)」の思
想を、「砂の文明」の“清浄”に発する「神」が世俗化した「民主(デモクラシー)」に対置する。( 1 )


問1.( 1 )に入る適切な文を以下の選択肢から選べ。 

A.米から文明を問い直すというのも面白い。
B.これからは「民主」だけでなく、「共生」にも思いを馳せるべきだろう。
C.文明を作り出すのは他でもない「母なる大地」なのである。
D.米を主食とする北朝鮮とは、泥沼状態だからこそ「共生」可能か。


正解はこちら:
平成18年10月20日付『東京新聞』 「筆洗」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20061020/col_____hissen__000.shtml