ガチムチの六尺兄貴のガイドライン 7尺目

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441水先案名無い人
アイラ島のウイスキーといえば、島の男達が、伝統を守って造り続ける、
勇壮なシングルモルトウイスキーとして、世界に知られている。
発芽のあと、麦芽達はモルティング室に集められ、熱と煙で燻され、乾燥させられる。
麦芽は、激しい煙で臭くなるから、そのままの臭いで、ウイスキーとして出される。
俺はいつもそれが狙いだ。
売られているウイスキーの、できるだけ臭い奴を10数本ほど、
こっそり買って家に持ち帰る。
そして、深夜、俺一人のアイラモルト飲み比べが始まる。
ppmの高いアイラモルトは、ピートの臭いがムンムン強烈で、俺の性感を刺激する。
グラスの中のウイスキーは、もうすでに痛いほど臭いを放っている。
グラスの中に鼻を埋める。臭ぇ。
ピート臭、フェノール臭や、シェリー樽独特の甘酸っぱい臭を、胸一杯に吸い込む。溜まんねえ。
臭ぇぜ、ワッショイ! アイラモルトワッショイ!と叫びながら、グラスの臭いを嗅ぐ。
嗅ぎ比べ、一番ピート臭がキツイやつを主食に選ぶ。
そのウイスキーには、樽の粕までくっきり沈んで、ツーンと臭って臭って堪らない。
そのウイスキーを造った奴は、アイラ島で一番威勢が良かった、五分刈りで髭の、40代の、
ガチムチ野郎だろうと、勝手に想像して、鼻と口に一番臭いグラスを押し当て、
思いきり嗅ぎながら、ガチムチ野郎臭ぇぜ!俺が飲干しててやるぜ!と絶叫し、
臭いをいっそう激しく嗅ぐ。
他のウイスキーは、ブレンダーのようにテイスティンググラスに注ぎ、
ガチムチ野郎のウイスキーを口に含みながら、ウオッ!ウオッ!と唸りながら飲む。
そろそろ限界だ。
俺は一気にグラスからウイスキーを引き出し、ガチムチ野郎のシングルモルトを、思いっきり飲む。
どうだ!ピート臭いか!俺も臭いぜ!と叫びながら飲み続ける。
本当にアイラ島に居る気分で、ムチャクチャ気持ち良い。
ガチムチ野郎のシングルモルトは、俺の肝臓で小便に分解される。
アイラモルト、貴様はもう俺のもんだぜ!
俺のテイスティングが済んだあと、他のウイスキーとまとめて、押し入れにしまい込む。
押し入れにはそんなアイラモルトがいくつも仕舞ってあるんだぜ。