邪気眼のガイドライン 第漆章『八月三十二日』

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321水先案名無い人
子供の頃、幽遊白書ごっこが流行っていた。
幽助、蔵馬、飛影というイケメンだけを残したメンバーになりきって遊んだ。三人の中で飛び抜けてチビだった俺は、自ら飛影を志願。他の2人も異論はなかった。
幽助は帰り際に言った。

幽助「じゃあ月曜日は幽白のカッコして登校しようぜ!!」

幽助は俺の邪気魂に霊丸を放った。オジギソウの様に猫背で苦笑いしている蔵馬を思い出す。

月曜日。
製作期間が土日とあり、自分を限りなく飛影に近づかせることに成功した。いや、俺は飛影だった。
飛影はスピードが命。
「残像だ」とつぶやきながらクラスで下から5番目くらいの脚の速さを見せ付けた俺は、勢いよく教室に入った。

目に飛び込んできたものは、失笑するクラスメート。無理もない。
紫色のフロシキに身を包み(なぜか下はブリーフ一丁)、母親のダルダルのバンダナ、腕には墨汁で書いた黒龍、剣の代わりに金属バットである。
失笑するクラスメートよりも俺を驚愕させたのが、普段着の幽助とオジギソウ。
飛影(俺)「どういうことだ!?」
幽助「本当にやってくんのかよバカじゃねーのおめーwwwwwww」
オジギ「ごめんね、ごめんね」
騙された。こいつらは消すしかない。
飛影(俺)「邪眼の力を…ナメるなよ…!!!」
これ見よがしにバンダナを外し、折り紙と両面テープで作り出した邪眼を見せ付けた。そこで幽助は俺が最も危惧していた言葉を言い放った。

幽助「坊主だとテンシンハンさんみてーだよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

この日学んだこと。坊主に第三の目はテンシンハンさんだということ。テンシンハンにさんを付けるとリズムが悪いということ。オジギソウは絶対に許さないということ。