28 :
水先案名無い人:
父 「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子 「お父さんには魔王が見えないの。かんむりをかぶって、長い衣を着ている・・・」
父 「あれはたなびく霧だ・・・。それが、人の形に見えているのだよ。
いいか、人間の脳にはな、不確定なものを過去の経験から照らして、その形に近いものとして認識してしまうことがあるんだよ。
だから、あれは本当はただの霧なんだけど、人の形に見えちゃうんだね。
それで、こんな時間にあんあところに人なんか居る訳ないから、それを恐怖の存在「魔王」と思い込んでしまったんだね。」
子 「へ〜」
魔王 「かわいい坊や、一緒においで。面白い遊びをしよう。岸辺にはきれいな花が咲いているし、金の服を私の母さんがたくさん用意して待っているよ。」
父 「落ち着きなさい、枯葉が風にざわめいているだけだよ。それが、声に聞こえてるんだね。
いいか、人間の能にはな 〜 中略 〜
それで、「魔王」の声と思い込んでしまったんだね。」
子 「へ〜」
魔王 「いい子だ、私と一緒に行こう。私の娘たちがもてなすよ。お前をここちよくゆすぶり、踊り、歌うのだ。」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、あの暗いところに魔王の娘が!」
父 「見えるよ。だが、あれは古いしだれ柳の幹だよ。それが(ry
〜思い込んでしまったんだね」
子 「へ〜」
魔王「愛しているよ、坊や。お前の美しい姿がたまらない。力づくでもつれてゆく!」
子 「おとうさん、おとうさん!魔王がぼくをつかまえる!魔王がぼくをひどい目にあわせる!」
父 「それはね・・・・
父親は薀蓄をたれて、馬を全力で走らせた。うなずく子供を両腕に抱え、やっとの思いで館に着いた・・・
腕に抱えられた子はすでにひとつ賢くなっていた。