魔王のガイドライン4

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193水先案名無い人
 迂闊にもこんな夜更けに馬を走らせることになってしまった親子。
 おっとあんまり急ぐと抱えた子供がこぼれそうですよ。

父 「息子よ、なぜ…なぜ、こんなことに…!」
子 「お父さんには魔王が見えないの。媚薬を仕込んで、安全マットを用意してる…」
父 「いけない…これは…!たなびく霧が…濃すぎる…!」
魔王「へへへ、子供、ようやくお目覚めか。ずっとこの子供をつれてゆくのが楽しみだったんだ」
子 「お父さん、お父さん!きこえないの。魔王がぼくに今日は九月の何日か尋ねてるよ!」
父 「落ち着きなさい、今は…今は絶えるしかない…!」
魔王「いい子だ、私と一緒に行こう。私の娘たちがもてなすよ。へへ、みんなで気持ちよくさせてやるぜ」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、あの痴漢電車内に魔王の娘が!」
父 「見えるよ…だが…あんなしだれ柳の幹なんかに…くやしい!」
魔王「へへへ 何とでもいいやがれ。生親子の生子供をつれていてもよろしいでしょうか?」
子 「おとうさん、おとうさん!魔王がぼくを餅が伸びたような触手でつかまえる!
   魔王がぼくを先が丸い拷問木馬でひどい目にあわせる!」

 父親はビクッビクッぶるぶるとして、馬を全力で走らせた。あえぐ子供を両腕に抱え、やっぱりくやしい思いで館に着いた…
 腕に抱えられた子はすでに死んでいた。
 よかったじゃないですか、魔王のせいにできて。