夢枕獏の文体のガイドライン

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426水先案名無い人
なんだ―――その構えはよ。
男は膝を付いていた。
ダメージが膝に来たとか、そういう意味ではむろん無い。
――座ってるのかよ。
阿呆か、と思った。
次に、男の意図を推し量ろうと脳味噌を回転させてみた。
そして――ふつふつと、怒りが湧いてきた。
――馬鹿にしてやがる。
てめえって奴は、いったい俺を馬鹿にしてやがるんだな。
喧嘩の最中に、その場に膝を付くなんてのはよ。
いいだろう。
とッ掴まえてやろうじゃねえか。
一度掴まえたら、もうおしめぇだ。
てめえの意識が吹っ飛ぶまで、否、吹っ飛んだって離してやるものか。
赤い旋風を舐めた報いを与えてやるよ。

「うぉっ」
巨体が、唸りを上げた。
ぶわり。
二人の間で澱んだ空気が、吹き飛ぶ。
飛んだ。
飛んだ。
飛んだ。
羆か何かとでも見紛うような巨体が、飛んだ。
形相もまた、羆の如く、であった。
427水先案名無い人:2005/07/07(木) 23:58:28 ID:Nib0Ha6x0
元ネタが分からねえ…
428水先案名無い人:2005/07/08(金) 00:37:38 ID:hAKIxxkP0
>>427
しゃがみタメで待ってるガイルに>>421の技で襲い掛かるザンギエフ
と思われ。
429水先案名無い人:2005/07/08(金) 00:55:07 ID:vhsIfid/0


なるほど。全然分からなかった。上のレスを受けてたのか。

まりがと。
430水先案名無い人:2005/07/08(金) 14:29:20 ID:UF2udY5C0
age
431水先案名無い人:2005/07/08(金) 22:18:53 ID:TM8QCj0D0
>>417
ゲキワロス
432水先案名無い人:2005/07/08(金) 23:19:04 ID:COjNHwSr0
>426
こいつは――

凄え男が現れたぜ

こいつはきっとやってくれる

そんな予感がふつふつとするのだ
433水先案名無い人:2005/07/08(金) 23:58:57 ID:JOaIkYY30
もし仮に――
この世に二人のヴァンダムがいたとする。

ヴァンダムから生じたヴァンダム。それがヴァンダムと戦うのだ。
同じ血、同じ肉、同じ骨。それがぶつかり合い、よじれ、軋む。

そうだ、それはどちらが勝つにしても―――
たまらぬヴァンダボーであった。
434426:2005/07/09(土) 04:44:35 ID:iaDlcKag0
男は膝を付いていた。
ダメージが膝に来たとか、そういう意味ではむろん無い。
かといって、目前の相手を馬鹿にしている訳でも――
むろん、無い。
その証拠に、男の青い双眸は――
憤怒を満面にたたえて襲い掛かる巨躯を、
微塵の揺らぎもなく、見据えているではないか。

ザンギエフがそれに気付いた。
否。
気付いたというよりは、気付かされたという表現のほうが、より近い。

視線。

果たして視線というものに、人を動かすだけの力はあるだろうか。
少なくとも、ザンギエフは。
それを、確りと感じた。
迷い無く己を見詰める青い二つの光に――
宙に浮いた己の体を、押し戻されたのだ。
否、それは錯覚であろう。
ザンギエフが押されたのは、その重厚にして巨大な肉体ではなく。
その内側。
さらに内側。
こいつをとッ掴まえてやろうという、そんな気概をこそ、押されたのだ。
その時点で――
ザンギエフの攻撃は、失敗していた。
435426:2005/07/09(土) 04:49:08 ID:iaDlcKag0
―――まずい。
憤怒に煮えたぎった頭が、一瞬にして冷え切った。
かわりに、例えようも無い感覚が全身を刺すように襲う。
何かが来る。
一見、人を馬鹿にしたようにしか見えない体勢から。
何かが。
来る。
避けろ。
無理だ。
なら。
受けろ。
受けろ!

「うおぉっ」
両腕を交差して、己の顔面を覆い隠すように保護する。
その隙間。
ザンギエフの顎に。
滑り込むように。

視界が跳ね上がった。
ザンギエフの視界いっぱいに、夜空が満ちた。

――何ン。
――何ンもらった。
――あー。
――痛。
――痛てぇ。
――畜生。
――顎?
――いい夜空だ。

斧を振り上げるような、鉄張りの軍靴による一撃であった。