夢枕獏の文体のガイドライン

このエントリーをはてなブックマークに追加
37水先案名無い人
「今だけ――西園寺さんのことを嫌いになった誠さんでいて下さい」
俺世界のこと嫌いになった訳じゃないから、
うまく言えないかもしれないけど――

最高だった
言葉は、世界よりずっと良かった
言葉の胸は大きくて柔らかい
それに比べて世界の胸はなんと物足りないのか――
言葉の胸は最高であった
締まりも凄かった、比べると、世界のでは全然いけなかったのだ
言葉には入れるだけで、ふいに、もの凄い早さで達してしまいそうだった

世界のあんな体に溺れていたのだ
糞!
自分が情けなかった
手が、足が、躰が、肌がずぶずぶと吸い付きそうだった
比べると、もう世界の躰は弛緩しきっていた
触るのは言葉に対する冒涜のような気がした
世界は――屑女だ。
世界の価値は中出しさせてくれるくらいでしかなかった
言葉さえ居れば俺は――
何度も喘いだ
言葉
言葉
言葉――