242 :
199:
それは、異様なイベントであった。
東京ゲームショウ2004――
"双恋スペシャルステージ"
パンフレットには、そう記されていた。
ぬらぬらした獣臭をみなぎらせた、異様な風体の男たちがたむろしていた。
肉体労働者とはまた別の、肉体の香りを発散させている男たち。
キモヲタと呼ばれる男たちであった。
"双恋スペシャルライブ"
"双子12人全員集合――"
それは、人が人である事を捨てねば、入ってゆけない場所であった。
会場の熱気は、最高潮に達していた。
メイン・イベント。
入場してきたのは、堀江由衣であった。
1976年9月20日生まれ。
乙女座。
日本ナレーション演技研究所時代は、特待生だった。
243 :
199:2005/06/22(水) 05:52:17 ID:ft/Vkr7l0
キモオタがどよめいた。
歓喜――
「ほっ…」
かまわない、と思う。
「ほっ…」
もう、かまわない。
「ほっ…」
解き放たれた。
鎖が、切れたのだ。
「ほっちゃあああああああああああああああああああああんんんっ!!」
萌。
「えーと、今日は…」
萌。
「双恋を…」
さらに、萌。
キモヲタの歓声が、たて続けに堀江を襲ってゆく。
「ほあああああああっ!」
「ほあああああああっ!」
「ほあああああああっ!」
たまらぬイベントであった。
>>それは、人が人である事を捨てねば、入ってゆけない場所であった。
なんという―――
ここまで巧みになれるのか?
上手過ぎる―――
あまりにも表現がぴったりそのまますぎるので―――
たまらずワロタ
>242-243
あそこに、自分と同じ人種がいた。
それがわかる。
あそこで、なにものかを共有できたのだ。
あの幕張メッセが、素晴らしく自由な空間となっていたのだ。
まるで、宝石のようなステージ―――
ほっちゃんと、キモヲタ達は、その宝石の中を泳ぐ魚であった。
そのためなら―――
捨てる。
捨てられる。
よし。
「ほっちゃーん! ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホァーッ!!」