眞子様を助ける妄想のガイドライン その3

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752水先案名無い人
下校する生徒の流れも一段落した頃、校舎の方から新美さんが走ってやって来た。
「マコリン、探したのよ」
そういいながら新美さんは肩で息をしていた。
「どうしたの、リサリン?」
「ご、獄門島さんがマコリンと藤村さんをソフトボール部の部室に連れて来いって……」
「だめです」
おれは即答した。
新美さんは顔をくしゃくしゃにして言った。
「でも……連れて来ないとGOHDA流空手で私をボコボコにするって言ってるの」
「GOHDA流空手!?」
おれは驚きのあまり大声を上げた。
「知っているのか、藤村?」
「はい、GOHDA流空手とはあのロックスターGOHDAがアクションスター千葉県一から伝授されたという伝説の格闘技です。
彼の伝記マンガ『ドラえもん』第29巻の記述によれば、千葉の個人教授を受けたGOHDAがそのあまりの激しさに失神したとか」
「何と!」
「恐るべきは必殺技のつま先蹴り! 正中線上に存在する人間の急所を的確に狙い打つその蹴りはまさに一撃必殺でございます」
「恐ろしげな技だな……」
姫殿下がご尊顔を曇らされた。
「というわけで新美さん、姫殿下と私はご一緒できませんがご健闘をお祈りします」
「いやぁぁああ、見捨てないで!」
新美さんが姫殿下にすがりついた。
「大変ねえ、皆さん」
安藤さんが涼しい顔をして言った。
「ああああ、安藤さん! あなたが、あなたが指示したんでしょ!」
「さあ知らないわルルルー」
安藤さんは顔を真っ赤にして叫ぶ新美さんを無視して明後日の方向を向いた。
(こいつ…………)
「藤村!」新美さんの体を抱きかかえるようにされていた姫殿下がおれの名を呼ばれた。
「行こう……友達を救えないのなら生徒会長になっても意味がない」
姫殿下のお言葉におれは覚悟を決めた。