782 :
水先案名無い人:
2限の授業が終わる。
いっしょに授業に出ていた「知り合い」の2人はそれぞれサークルの友達と学食へ足を運んでいた。
「また1人か。」
そう思いながらパソコン室に向かう。
そしてコソコソとバッグの中から「スニッカーズ」を出し、またコソコソと十数秒で頬張る。
こんな生活が、学校が始まってからずっと続いていた。
その時、入学当時あったのより、3`も体重は落ち込んでいた。
次の週、2限が終わるとまたいつもの「知り合い」と別れる。
そして重い足取りでパソコン室に向かって行った。
その時、俺の右肩が叩かれているのを感じた。
振り向いてみると、その日の1限で同じ授業を取っている奴だった。
「おう、どうした?」
俺が聞くとそいつは
「今日お前3限あるんでしょ?俺もあるから、ついでに昼一緒に食べない?」
と予想外の返答。
俺は驚きを隠しきれなかったが
「ああ、いいよ」
とオドオドしながらも答え、学食へ向かった。
初めて買う学食の食券。カツ丼をもらうのにどこに並べばいいのかわからなかった。
ただ、俺の心の中に「動揺」の二文字はなかった。
それどころの心中ではなかったからだ。
聞くとそいつも中途半端な「知り合い」しかおらず、実は俺と同じような生活を送っていた。
だから余計にそいつの気持ちもわかるようになり、一緒にいる時は楽しくしようと心がけている。
もう2度と、自分もそいつも同じようなメには合いたくないから。
携帯の番号を交換し、今度原宿へ遊ぶ約束もたてた。
カバンの中にあるスニッカーズは、今ごろ昼の日差しで溶けてしまっているだろう。