「むぅ、あれはまさか米爺醗葉(マイヤハッハ)!」
「し、知っておるのか雷電ーっ!」
「うむ、しかしまさか伝説をこの目で見られるとは・・・」
『米爺醗葉(マイヤハッハ)』
古代中国は殷の時代、殷最後の皇帝紂王は堕落の限りを尽くしていた。
ある時、菩提樹の葉を使って最高の米酒を作る米爺(マイヤ)という老人に
紂王は米酒を献上することを命じたが、米爺はそれを断り
拷問で製造法を吐かせられることを恐れ自害してしまった。
時の詩人はこの米爺の行動をたたえ、
「米爺否 米爺封 米爺宝 米爺醗葉」
(訳:米爺は断った、米爺は封じた、米爺の宝を、米爺の醗酵させる葉を)
と歌い伝えたという。
一方紂王は米爺から奪った米酒で池を作り、飲み踊り、肉を簒奪し、
後世に酒池肉林と語り継がれる宴会をし、周に滅ぼされたのは皆の知るところである。
現在「マイヤヒー マイヤフー マイヤホー マイヤハッハー」と歌う曲が流行っているが、
これは米爺の詩が由来であることは明らかである。
しかし、その歌詞が「米さ!米酒か!飲ま飲まイェイ!」と聞こえてしまうのは
我々が酒池肉林を知っている日本人だからかどうかはわかっていない。
民明書房刊「伝説の酒めぐり 〜恋の呪文は毎夜日入」より