民明書房刊 究極なる奥義のガイドライン

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868水先案名無い人
官任具(かんにんぐ)

 宋の時代から科挙による役人登用が本格化したのは周知の通りである。それに伴い、受験戦争が
過熱し、狭き問となっていったのも事実である。そんな中、長安に住む金具修理工の田華山(でんかさん、
たけやまとも呼ぶ)は「誰でも科挙に受かり、官僚に任命される」と銘打った「官任具」なるものを開発した。
賢明な読者ならば官任具はすぐに「カンニング」の語源とおわかりであろう。ある時はカンニングペーパーを
隠すカツラであったり、肌着に五経を書写したものであったり、と色々なカンニング用道具を田華山は開発
していった。官任具は試験前の持ち物検査で見つかることがなく、大いに効果を発揮した。
 しかし、田華山は後に摘発され、不正で合格した役人もろとも処刑されてしまった。ちなみに田華山は「最期に
言い残すことはないか」と問われた際、科挙で人生が決められる理不尽さを半日間怒鳴り散らして訴えたという。
ちなみにこの田華山がカンニング竹山の先祖であるという説が流布しているが真相は定かではない。

民明書房刊「東大放物線」より