【葉仔墓絵霊(はこはかえれ)】
室町時代の事、とある田舎町では毎年一人の村人を生贄にし、その年の安全と豊作を願うという儀式が行われていた。
山奥の御神体に生贄を縛りつけ、1ヶ月したら墓を立てる事で生贄となった村人の供養を行っていた。
が、ある年、その年の生贄として選ばれた檀那(だんな)という若者が、生き延びたい余り縄を食いちぎって逃げ出してしまった。
1ヶ月後に村人が墓を立てに行った時、檀那が逃げ出した事に気付いた。
これに驚いた村人は、代わりの生贄として急遽「葉仔(はこ)」と云う架空の人間のような物のを絵に描き、代わりの生贄とした。
するとその晩、とある村人の枕元にその葉仔と名乗る霊が現れ、「此れからは自分のように絵を生贄にするがよい」と言い残して消えたと云う。
翌年から村人達は生贄を出すのを止め、毎年人間のような物(村人の間では「餡度炉異土(あんどろいど)」と呼ばれていた)の絵を描いて生贄とすると共に、
「葉仔墓絵霊、葉仔墓絵霊(はこはかえれ、はこはかえれ)」と葉仔の絵の霊に感謝したと云う。
この風習はごく一部の田舎町にしか残されていなかったが、近年のインターネットの普及によって、
掲示板において「ハコハカエレ」と祈る人が増えてきた。
だが、最近では某ネットゲームの箱、というキャラクターを侮辱する時に使われる言葉として広まっており、
その本当の意味を知る人は少なくなってきているのが現状である。
(民明書房刊 「本当は怖い現代の流行言葉」より)