おれは数十人の生徒に入れ代わり立ち代わりまさぐられ続けた。
その間にも人数はどんどん増えていった。
「部長! クマです!」
またマドハンドの仲間を呼ぶ声が聞こえた。
(今の声……どこかで聞いたことが……)
「はい、ごめんよ〜、ごめんよ〜」
群がる生徒たちを掻き分けて下川さんが姿を現した。
(ま、まずい…………)
「ほら、本当にいたでしょ、クマ」
下川さんの後ろから小柄な平沢さんがぴょんと踊り出た。
さらには美術部の他の3人もいる。
「へえ、クマか……」
残忍な笑みを浮かべた下川さんが音もなくおれに近づき、誰にも見えない角度からおれの脇腹に膝蹴りを入れた。
(ぐはっ!)
おれは痛みにのたうち回った。
「あっ、甘えてる!」
姫殿下が叫ばれた。
「マコちゃん、この中に入ってるのは誰?」
松川さんがお尋ね申し上げた。
「藤村です」
「へえ、どうりで姿が見えないと思った」
「ごめん……まさか藤村さんがそんなみじめで暗くてさびしいクマの中にいるとは思わなかったから……
あたし浮かれちゃって……」
下川さんが手で口を覆うようにして言った。
(嘘だ! 絶対嘘だ!)
「藤村さん、クマ系ですね……」
キャノンさんがぽつりと呟いた。
(系をつけるな! 専門用語だ!)
おれはもう限界だと思った。