「予想に過ぎないんですけど」
「知り合いの編集者に聞いたんですけど」
さわやかなウソの挨拶が、よどみきった本スレにこだまする。
今野スレのお庭に集うFG厨たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、ネタバレ禁止を無視していく。
汚れを知らない心身を包むのは、どす黒い優越感。
直球のネタはばらさないように、未読者の楽しみは残さず粉砕するように、
絶妙にばらすのがここでのたしなみ。
もちろん、発売ギリギリでやっと手に入れるといった、はしたないFG厨など存在していようはずもない。
FG(フライングゲット)厨。
四月一日発売予定のマリみて新刊は、もとは乙女のバイブルとしてつくられたという、
伝統あるカトリック系お嬢さまモノ小説である。
東京都内。神田の面影を未だに残している書店の多いこの神保町で、店主に見守られ、
数日前のFGができるFG厨の楽園。
時代は移り変わり、バレ危険日が前日から一週間前まで早まった平成の今日でさえ、
数日通い続ければ優越感一杯の純粋培養FG厨が箱入りで出荷される、
という仕組みが未だ残っている貴重な楽園である。
S・A・G・A