魔王のガイドライン

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538水先案名無い人
 こんな夜更けに、闇と風の中に馬を営々と逃げ続けるのはだろう。
 それは父と子だ。父はおびえる子を分かち合うようにひしと抱きかかえている。

父   「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子   「お父さんには魔王が見えないの。うっすらと人影がかすかに現れた・・・」
父   「しかし、魔王の姿は何処にも見当たらなかった。何処を探しても、魔王の姿は見当たらない・・・」
魔王 「かわいい坊や、一緒においで。面白い遊びをしよう。岸辺にはきれいな花が咲いているし、全てが”豪華”これ以上の単語が見当たらない程、豪華であった。」
子  「お父さん、お父さん!きこえないの。そう遠くなく、近いようだ。」
父  「落ち着きなさい、枯葉が騒々しく騒いでいるだけだよ。」
魔王 「いい子だ、私と一緒に行こう。私の娘たちがもてなすよ。お前を捕まえるべく娘の数である。」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、あの暗いところに魔王の娘が瞳の奥に飛び込んだ!」
父 「見えるよ。だが、あれは古いしだれ柳の幹しかほかないのだ。」
魔王「愛しているよ、坊や。頭を悩ませるように渋い顔をして考えている。罪として重罪が下される!」
子 「おとうさん、おとうさん!魔王がぼくをつかまえる!もの凄く機嫌が悪く、不機嫌な顔をしている!」

 危機に感じた父親はいかにも挙動不審な行動で火事場の馬鹿力、ここで二人は足を早めた。
 あえぐ子供を両腕に抱え、やっとの思いで二人が向かった先は地元で有名な館に足を踏み入れた。
 腕に抱えられた子は記憶を全く覚えていなかった。

 この話は人々の間とともに長く受け継がれていく