35 :
水先案名無い人:
こんな夜更けにトイレを求めて全力疾走しているのは誰だろう。
それは父と子だ。父はおびえる子をひしと抱きかかえている。
父 「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子 「お父さんにはいい男が見えないの。ベンチに座って、ツナギを着ている・・・」
父 「あれはたなびく霧だ・・・」
魔王「やらないか」
子 「お父さん、お父さん!きこえないの。いい男がぼくになにかいうよ。」
父 「落ち着きなさい、枯葉が風にざわめいているだけだよ。」
魔王「よかったのか、ホイホイついてきて。俺はノンケだってかまわないで食っちまう人間なんだぜ」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、ツナギを脱ぎ捨てた逞しい尻を!」
父 「見えるよ。だが、あれは古いしだれ柳の幹だよ。」
魔王「ところで俺のキンタマを見てくれ。こいつをどう思う」
子 「おとうさん、おとうさん!いい男がぼくをつかまえる!いい男がぼくに入ってくる!」
父親はぎょっとして、馬を全力で走らせた。あえぐ子供を両腕に抱え、やっとの思いで館に着いた・・・
腕に抱えられた子はクソミソな結果に終わっていた。