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水先案名無い人:
こんな夜更けに、闇と風の中に馬を走らせるのはだろう。
それは父と子だ。父はおびえる子をひしと抱きかかえている。
父 「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子 「お父さんには魔王が見えないの。かんむりをかぶって、長い衣を着ている・・・」
父 「あれはたなびく霧だ・・・」
魔王 「かわいい坊や、一緒においで。面白い“遊び”をしよう。窓辺にはきれいな花が咲いているし、金の服を私の下僕がたくさん用意して待っているよ。」
子 「お父さん、お父さん!きこえないの。魔王がぼくになにかいうよ。」
父 「落ち着きなさい、枯葉が風にざわめいているだけだよ。」
魔王 「いい子だ、私と一緒に行こう。私の息子たちがもてなすよ。お前をここちよくゆすぶり、踊り、歌うのだ。」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、あの暗いところに魔王の息子が!」
父 「見えるよ。だが、あれは古いしだれ柳の幹だよ。」
魔王「愛しているよ、坊や。お前の美しい姿がたまらない。力づくでもつれてゆく!」
子 「おとうさん、おとうさん!魔王がぼくをつかまえる!魔王がぼくの尻の穴に魔王の野太いちんぽをぶち込む!」
父親はぎょっとして、馬を全力で走らせた。あえぐ子供を両腕に抱え、やっとの思いで館に着いた・・・
腕に抱えられた子はすでに尻から血を流して死んでいた。