横山光輝のガイドライン

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248水先案名無い人
重臣A「玄徳殿は荊州も奪えずあべこべに曹操に奪われ江夏に身を隠す有様
先生が これを知りながらそうさせたとあらば先生も知者とは申されまい 諸公はどう思われる?」
孔明「我が君玄徳が荊州を奪おうとすれば いとも簡単に奪えたでございましょう
だが故劉表と我が君玄徳とは同族 領地を奪うなど 我が君には出来ませぬ」
重臣A「これはおかしなことをうけたまわる
先生は小さな私情は捨て大儀のために立ち上がれねばならぬと
それが同族だと私情に捕らわれ何もせず逃げ回っていて
先生のおっしゃられる大儀とやらは成し遂げられるのですか?」
孔明「ははは あなたの目にはそう写りますか
だが万里を駆ける大鵬の気持ちは小鳥にはわかりますまい
例えば重い病人を治すに まず粥を与えておだやかな薬を飲ませ
体が回復するのを待って肉食を持って元気をつけ強い薬を与えれば病気は治ります
だがいきなり劇薬を用いればかえって病気を重くします
我が君玄徳はまるで重病人のようなものでござる
これで曹軍とまともにぶつかるとは自ら死にに行くようなもの
これを避けるは兵家の常 また逃れて身を隠すは体の回復を待つためのもの
昔 楚の項羽は度々の戦に勝ったが凱歌の一戦に敗れ高祖に滅ばされた
それに比べ高祖の韓信は ほとんど勝った試しの無い大将でしたが最後の勝利を
高祖皇帝に導いてござる
国家の大計というものは局部的な勝敗で全てを論じるのは軽率でござろう
重臣A「むむむ」
249水先案名無い人:04/10/20 23:52:26 ID:DCoi/msS
孔明「ほかに何か?」
重臣B「ならばお聞きいたします 曹軍百万 先生は何か対策がござるか?」
孔明「百万と言っても北方の兵 荊州の兵を合わせての数だ
いわゆる烏合の勢です 恐れることはございますまい」
重臣B「これはおかしい
曹操に惨々な目にあわされ他人の助けを求めながら 恐るるに足らぬとは言葉が過ぎませぬか」
孔明「あなたは『信兵は実に戦う』というのをご存じないか?
我が君玄徳の兵は仁義の兵なれど数千 だから江夏に退いて時を待っている
それに比べ こなたの兵は精鋭 食料も十分 その上 長江の要害があり戦う力もありながら
主君に対しておめおめ降伏をすすめるとは卑怯千万 それから見れば 我が君は
僅かの兵でも曹操に立ち向かおうとするその態度
曹操恐るるに足らぬと申してもおかしくなかろう」
重臣B「・・・」
250水先案名無い人:04/10/20 23:59:57 ID:DCoi/msS
重臣C「孔明!
おぬしは昔の蘇秦 張儀の詭弁を見習って この国に遊説しにやってきたのか それが目的か!?」
孔明「あなたは蘇秦 張儀の弁の立つ一面だけを知り 両人 誠の豪傑であることを知らないと見える
蘇秦は六か国の宰相の印を持ち 張儀は二度まで秦の宰相となった
いずれも国家を支える大人物ですぞ 脅しにのるような人物ではござらぬ
だが あなたたちは曹操が誇大な書状を寄越したくらいで意気地無く降参しようと考える身
蘇秦 張儀を語る資格がござるか!」
重臣C「ム・・・」
251水先案名無い人:04/10/21 00:15:26 ID:eU2NpBDf
重臣D「では曹操は何物ぞ!」
孔明「漢の逆臣!」
重臣D「それは間違いでござろう「天下は一人の天下にあらず天下の人の天下なりと」
されば尭は天下を舜に譲り舜は天下を兎に譲り その後 成湯はケツ王を退け武王は肘王を討ち
漢は秦を受け継いで今日にいたった しかし天下より定められた運命は 最早 尽きている
今や曹操は既に天下の三分の二を押さえ人心も彼に心を寄せ始めている
天下を取る者を賊というならば舜も兎も武王も秦王も全て賊ではないか!」
孔明「だまらっしゃい!
あなたの言葉は父母も無く 君もいない人間の言う言葉だ
人として生まれながら忠孝の道を弁えぬのか!?
曹操は漢に仕えて禄を食みながら 今 漢室が衰えたと見るや
漢室を滅ぼし その手に天下を握ろうとしている
これを人として歩む道か?
ならばあなたに聞こう あなたの主君の力が衰えたら 曹操のように
たちまち主君孫権を蔑ろにするつもりか?」

一堂 シーン

それはさながら武器を持たぬ戦いであった 重臣達の降伏論を正答化させぬため
全てを言い負かさねばならなかった