人類最強の男のガイドライン

息子が人類最強という引かれている
俺も人類最強でありつづけるためにはどうすればよいのか考えた
人類最強であればどのようなことでも出来る
手始めに靴下だけを履いて愛車にプレイバック、プレイバックとつぶやきながら飛び込む
赤いネクタイを首に巻きつけファブリーズを脇の下に吹きかける
いつまでも子供ではないので人類最強らしく身だしなみにも余念が無い
愛犬のベスが呆然としながら見ているが人類最強なので気にしない
ギアを5速にいれて「僕達の革命！僕達の革命！」と叫びながらフルアクセル
車からは黒い煙が噴出し勢いよくタイヤだけ飛んでいくが最強であるが故に気にしない
だがまだまだ最強と言うには不十分
次はお隣さんの家に脇をカッポンカッポンと鳴らしながらモデル歩きで紳士的にあがり込む
お隣さんは家族会議の最中だったが人類最強であるが故に無視
パイプをふかして一点倒立をしながら
「おヒゲがチャーミング！おヒゲがチャーミング！」と誠実に目で訴える
お隣さんは青ざめた顔をしながら裸足で逃げ出していく
確実に人類最強をキープする
片手ロンダートに二回ひねりを加えながらガレージに飛び込み自転車のベルを股間にくくりつける
紳士的にムーンワォークをしながら自分の書斎へ突撃
生まれたての子鹿の真似をしながら部屋を見渡すとアルバムを凝視する息子を発見
驚愕を受けた息子を目の当たりにして音を立てないようにそっと部屋を抜け出す
目頭が熱くなってきたが俺はもう泣かない