「諸君 私は〜が好きだ」を貼って <8>

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98水先案名無い人
「もっとも恐ろしい漫画家とはだれか わかるかね絵理子」
「……竹本泉」
「そうだその通りだよ 我らが生みの親竹本だよ絵理子
 ではなぜ竹本はそれほどまでに恐ろしい?
 竹本は弱点だらけだ
 ふつうを嫌い 変化を嫌い マンネリという自キャラのツッコミで身を焼く
 少女誌・少年誌・青年誌・ゲーム誌いずれも作風は変えれず
 はやりに目をそむけ メジャー誌に目をそむけ
 ほとんどの話に猫が登場し 安息のねぐらは唯一ツやたらページ数の多い後書きだけ
 それでも竹本は無敵の漫画家と呼ばれる
 絵理子 何故だかわかるかな」
「……2色や4色カラーを操る事?」
「それは決定的ではない」
「単行本で後書きのページが少ないとなぜかがっかりする事?」
「少々役不足だ 倒す法はそれに限らん」
「あちこちの雑誌で連載し いくらでも同じような話を増やす?」
「それは確かに恐るべきことだ だが無敵か、とは少し違う
 もっともっともっともっと単純なことだ」
「……変だぜ?」
「そうだ 竹本泉はとっても変な話ばかり描くのだよ 絵理子
 あおいちゃんパニック! 魔法使いさんおしずかに! ねこめ〜わく さよりなパラレル
 しましま曜日 アップルパラダイス てきぱきワーキン(はぁと)ラブ 乙女アトラス
 トランジスタにヴィーナス etc etc
 しかし最も恐るべきはその純粋な作風…『変』だ
 読者達を軽々と竹本ワールドへ引きずり込む
 そしてたちの悪いことに竹本はその力を自覚している
 単一能としてでなく 彼の理知を持って力を行使する『変な話』だ
 竹本にまともな話を期待するのは筋違いを意味する
 いいかね絵理子 竹本とは猫大好きな
 自称『少女漫画家』なのだ これを最悪といわず何をいうのか」