【究極】神のコピペのガイドライン【至高】 part3
少し前の話になるのだが、バイオハザードという怖いゲームが面白いと噂を聞いて
僕も後追いながらも遊ぶことにしたんだ。
リアルなオープニングが恐怖を煽る。ただ一人きりで洋館を探索しなければならない。
武器はナイフと小経口銃のみ・・。不気味に開く扉、誰もいない静寂の部屋、そして
薄暗い廊下。かの有名なゾンビとの出会いシーンではマジでパニックになったり。
リボンを拾ってセーブしたときの安堵感といったら・・。
そんなある日、僕は洋館の廊下で衝撃的な出会いをすることになる。
いつものように扉を開け入るとそこは長い廊下でした。耳をすまして物音を聞く、
生き延びるために知らないうちに身についた行動だ。大丈夫、不気味な音はしない。
僕は歩みを進めた。その時!!大音響をたてて窓ガラスが打ち破られた!!!
僕はビクつきながらも銃をとっさに構えた。
そこには、2匹のドーベルマンがいた。
僕の家には、僕が赤ちゃんのころから飼い犬の2匹のドーベルマンがいた。
一般的には怖いイメージをもたれているドーベルマンだが、僕にとってみればとても
やさしい犬だ。僕が生まれたときに、既に対で飼われていたドーベルマンの名は、
ダンテとメアリーで、彼らにもまた子犬が出来たばかりだったが、すぐに里親の下に
出されたのだった。
そのせいもあるのだろうか、母犬のメアリーは特に赤ん坊である僕のそばにいて、
片時も離れなかったそうだ。子供特有の突然の熱が出たときも、僕の頭やおでこを
舐めて、それはもう実の母親のように看病しているかのようだったと聞いた。
僕が歩けるようになってからも、遊び相手はいつもダンテとメアリーだった。
じゃれているときでも僕のことを噛んだ事は一度も無かったとも聞いた。僕も少し
成長して一緒に散歩に行けるようになってからも僕たちの仲は変わることは無かった。
ある日、ダンテが始めて僕のことを噛むという事件があった。噛むといっても僕のズボンの
すそを噛んで引っ張った程度だったが、今まで一度もそんなことが無かったので、僕は
ショックの余りそのことを父に言うと、癖になってはいけないと、父はキツくダンテを叱って
しまった。その日なぜだかダンテは元気が無かった。メアリーも珍しく夜中も吼えていた。
翌日、散歩に連れて行こうと犬小屋に向かうと、ダンテの横にメアリーが並んで横たわっ
ていた。ダンテの様子がおかしいことに、ようやく僕は気付いた。僕は叫んでいた。
両親が飛んできた。動物病院へ向かった。診察が始まった。
ダンテを診て医者さんは言った。「この犬、毒蛇か何かに噛まれてますね」
そして、「残念ながら・・ 」とも。
僕は分けが解らなくなった。ただただ悲しかった。泣いた。
そして、ダンテがなぜ僕のことを噛んだのか解った気がした。僕は悔しくて悲しくて、
やりきれなくて、泣いた。でも、もうダンテは動かなかった。
それから元気の無くなったメアリーは2週間後にダンテの後を追うように亡くなった。
僕は、自分の過ちで家族を一度に二人も失ってしまった。メアリーの死もまた悲しかっ
たが、悲しすぎたのか泣かなかった。いや泣けなかった。
もう、犬は二度と飼うまいとダンテとメアリーに僕は誓った。
僕の目の前に現れた2匹のドーベルマン。僕にはそれがダンテとメアリーに見えた。
いや、それ以外には見えなかった。
襲ってくるゾンビ犬。走りまわり、飛びかかり、噛み付いてきた。
僕はもう、そこには恐怖も嫌悪感も無かった。ただ懐かしさが、涙が込み上げてきた。
噛んでくれ!僕を好きなだけ噛んでくれ!そう思った。
主人公に噛み付いてくるゾンビ犬から逃げることなく、彼(僕)は死んだ。
GAME OVER
画面が暗転して、僕には、彼たちにもう会えない寂しさだけが残った。
僕の洋館での冒険は終わった。ドキドキがあった。恐怖があった。勇気と楽しさがあった。
そして、再会があった。そして、言葉に表せない本当の別れがあった。身勝手なようだが
胸のつかえが取れた気がして、救われたような気がした。
机の2番目の引出しを開けて、奥にある箱から、2つの首輪を取り出した。
明日から、この首輪を壁に飾ろうと思った。
大事なものを忘れないように。大事な彼らを忘れないように。