映像の世紀のガイドライン

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258水先案名無い人
なにか光り輝く異様なものが空をよぎった。
同世代の人々とは何も共通点を持たないかに見えた
ふたりの二十歳そこそこの若者が、芥川賞を獲得した。
しばらくのあいだ人々は、吉野家やなか卯で
どんぶりを下に置き、最良の妄想に思いを馳せた。

 「そうか、小説を書けば抜け出せたのか――」

われわれの定まるところを知らない血は、
果てしない創作世界になら、フロンティアを見つけられたかもしれなかったのだ。

しかし、われわれはもう引き返せなくなっていた。
フリーター生活は続いていた。
われわれはまた、どんぶりを上げるのだった。