「う…うえッ えぐッ えぐッ」「ヒック ヒック ヒック」
「どしたい なんで泣いてんだおめぇ」
「がッ 学校でみんながッ おまえはヲタクの子供だって…ッ
おまえんちはケチでダサいヒキコモリだってッ」
「そうだよ 本当のこった」
「うちは8代前からず〜っと自作ヲタだ じいちゃんのじいちゃんのじいちゃんのじいちゃんからだ
おまえの親父だって屋根から転落しておっ死んじまったんじゃねえか」
「おまえの部屋を増築するためにキバりすぎたんだよ 何だオメエ まだ知らなかったのか」
「お お おじいちゃんも おじいちゃんも自作したの……!?」
「あーあ 自作したよ すげえたくさん」
「なッ なんでだよッ なんで自分で作ったりするんだよッ」
「自作ヲタが何のために? 自己満足だよ」
「俺達以外の連中の買い物は ブランドや流行 宣伝文句にのせられてなんとなくとか デザインのため
機能のため 性能のため 家族のため 女のため 子供のため 仕事のため 趣味のため いろいろだ」
「俺達はそういうのわかんねえ 大事な事だっていうのはわかる でもそういうの
別に自作しなくても何とかなるんじゃねえのと思う」
「つうか自作する事に そういう意味なんか必要なのか?ささやかな自己満足で充分じゃねえのかと思う」
「逆にいえば だ ささやかな自己満足が 俺達にとっては人生を賭けるのに足りてしまうんだ」
「ささやかな自己満足のために世界中の怪しい部品をあっちゃこっちゃ買い漁って
ささやかな自己満足のために組み立てたり分解したりブッ壊されたり
しかも誰にいわれたワケでもなく好きこのんで だ」
「上手く組みあがった時のささやかな自己満足の方が 自分の人生や他人との付き合いより重い
ウチの家系は割とそーいうホントに人間のクズの家系なんだ
悪いが学校でいじめられても仕方ないかもなあー」
「いや なに おまえもそのうちわかる時が来るんじゃないかな なにせホラ おまえは俺達の孫だ」