さわやかな朝の挨拶のガイドライン 第三章

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57水先案名無い人
「只今三鷹駅付近におきまして人身事故が発生しまして…」
「上下線全線不通となっております」
さわやかな駅員のアナウンスが、澄みきった新宿駅構内にこだまする。
多摩、武蔵野から都心に通勤通学する利用者たちが、今日も
もはや日常茶飯事となった説明放送に対して生暖かい笑顔で
京王線乗り換え口をくぐり抜けていく。

ぶつかり放題の虫や雀の屍骸で汚れきった車体を包むのは
今時珍しい全面塗装のミカン色。
リストラされた会社員は歩道橋から線路に飛びこまないように、
開かずの踏み切りはあまりの待ち時間に焦れて、遮断機を乗り越えて渉らないように、
諦めてゆっくり待つのがここでのたしなみ。
もちろん、走る列車に向かって石をぶつけて営業妨害するなどといった、
はしたないまねをする中国人などTBSのニュースの中では存在していようはずもない。

JR中央線。
明治三十四年創立?のこの路線は、もとは甲府、長野方面に向かう鉄路ために
ついでにつくられたという、伝統ある都心ローカル線である。
東京都下。武蔵野の面影を未だに残している緑の多いこの地区で、
利用者に呆れられ、マスコミに毎日取り上げてもらい
嘲笑のもと晒される都民の足。
時代が移り変わり、国鉄がJRと名前が改まったあと元号も世紀も変った平成の今日でさえ、
親方日の丸、国鉄根性丸出しの職員が箱入りで出荷されてくる、
という仕組みが未だに残っている イタリア国鉄以下の貴重な路線である。