「グエッヘッヘッ!」
「なのねーん!」
あやしげな貧乏神の挨拶が、澱みきった大空にこだまする。
目的地の新宮に向かう社長たちが、今日もどん底気分のような絶望的な顔で、貧乏神の悪行をくぐり抜けていく。
希望を知らない社長を包むのは、4色の列車。
出雲の出雲そば屋は取り逃さないように、キングボンビーは暴れさせないように、
こっそりとなすりつけるのがここでのたしなみ。
もちろん、借金を貯めに貯めてたいらのまさカードを使うなどといった、はしたない社長など存在していようはずもない。
桃太郎電鉄。
昭和63年発売のこのゲームは、もとはさくまあきらの趣味のためにつくられたという、
伝統あるスゴロク系王道ボードゲームである。
PS2・GC。スゴロクの面影を未だに残している赤マスの多いこのマップで、スリの銀次に見守られ、
子供からお年よりまでの一貫プレイができる年末の風物詩。
時代は移り変わり、シリーズが初代から十一回も改まった「12」の今日でさえ、
九十九年プレイし続ければ疲れきった純粋培養ゲーム廃人が箱入りで出荷される、
という仕組みが未だ残っている貴重なゲームである。
※ボードゲーム・桃太郎電鉄シリーズ。今年も発売までもうちょっと。